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短編2
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同調圧力

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気の弱そうな女の子が転校してきた。

分厚い黒ぶちメガネ

顔はずっと下をうつむいたまま

耳が不自由なのか特徴的な発音と声の小ささのため

あいさつもボソボソと何を言ってるかわからない。

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そしてその手入れをしていない黒髪の隙間から見える表情には

クラス全員が息をのんで静まり返るには十分なほど迫力があった。

しかしそれは同時に時間が経つと彼女がイジメの対象に変わる事を予期するものでもあった。

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「あの子が○○病院から出てくるところを見た。」

「何かの感染症だ。」

「そのせいで目と耳が悪くあんなメガネかけてあんな喋り方なんだ。」

「後2、3年で死ぬ。」

「一人で死ぬのが怖いから私達を道ずれに転校してきたんだ。」

噂はドンドン広まりそれがどんなにチンケでアホらしく幼稚じみた物でも

「同調圧力」「多勢に無勢」が絶対ルールーの

学校という閉鎖空間の中だけはそれが真実となった。

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そして今まさにその転校生が不良女子数人に囲まれている所だ。

「お前気持ち悪いんだよ!」

リーダー格の不良女からの言葉をきっかけに

「死ぬなら一人で死ね!」

「どんな事があっても私に触んな!」

「アホ!ボケ!カス!!」

転校生に罵詈雑言浴びせ続ける不良グループと言うかクラス全員。

そして

不良女:「下ばかり向いてないで何か喋れよ!!」

ただただ下をうつむき続ける転校生の髪を掴んだその瞬間

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・・・・・・・

仰向けに倒れてたのはリーダー格の不良女だった!!

彼女はただただ下をうつむいてた訳ではない

この状況で彼女は少女漫画を読んでいたのだ。

しかしクラス全員何に驚いたかと言うと

不良女を回し蹴りで失神させた後

おもむろに席を立ち黒髪をかきあげながら床に落ちた自分のメガネを拾った彼女が

とにかくムチャクチャ美人!!!!

誰もが「漫画か!!」っとつっこみたくなるほど彼女は可愛かった。

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次の日から転校生の立ち位置が劇的に変わった事は言うまでもない。

彼女の周りには常に人だかりの山!山!山!

「俺も同じメガネ買おうかなぁ~(笑)」

「じゃあ私も!じゃあ私も!」

転校生を褒めたたえる声と笑い声は終わることなく続いた

私も俺も僕も私も俺も僕も私も俺も僕も私も俺も僕も 私も俺も僕も私も俺も僕も私も俺も僕も私も俺も僕も私も俺も僕も・・・・・

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しかしそれから2年後、彼女をアイドル扱いしてきたクラスメイトは彼女と一緒にみんな視力と聴力をなくして死んだ。

リーダー格の不良女を除いて・・・

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