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スーパーカブと女子高生 ②

短編2
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スーパーカブと女子高生 ②

俺が購入した中古のスーパーカブが、今日納車された。もちろん、その隣には女子高生が寄り添っている。

紺のジャンパースカートに白いシャツ、そして紺のブレザーを上品そうに着こなしている。目線を合わせようとはしない、俺の左肩あたりを眺めているようだが、定かではない。

その恰好では寒いだろうと思うが、彼女には季節感が無いようだ。

もっとも俺にしか見えないのだから気にすることもないが、ついつい「寒くないの?」と聞きたくなる。なぜ、このカブに寄り添っているのか等、疑問は多々あるが、気にしてもしかたがない。話ができないのでどうしようもないのだ。

ブルーとホワイトのツートンカラーで、そこそこ綺麗に見えるのは、バイク屋の主人が納車のため一生懸命に磨いたからだ。

さっそく、彼女をすり抜けバイクに近づき跨がってみた、俺の体には若干小さめのカブではあるが概ね満足である。

エンジンを回そうとセルを押すと、

「バチッ!」

静電気と共に瞬時に映像が脳内に浮かび上がった。

女子高生がこのカブを楽しそうに運転してる映像だ、真っ赤なヘルメットにスモークの入ったバイザー、表情までは見えないが、紺の制服姿で桜並木を軽快にとばしている。

桜の花びらたちが、妖精のように彼女の脇をすり抜け、空高く舞い上がっている。まるで天使が妖精達を天に次々と送り出しているようにも見えた。

次の瞬間、まったく違った映像が浮かび上がった。

辺り一面が炎に包まれている、何とか逃れようとして、走り回るが炎は離れない。必死にのたうち回るが、炎が…「そうか、自分が燃えているんだ」と脳が気づく。

「ブルゥルゥゥ…」

カブのエンジン音で我に返った。

視力が脳から自分に戻った瞬間、彼女が目の前に立っていた、そして初めて俺の目をしっかりと見つめている。

「ユミカちゃん」

ふと、言葉が出た。

彼女のことをそう呼んでしまった。

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