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長編15
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デジャブ

さぁてと・・・

「もうそろそろ・・・葵、楓、ありがと、もうお休みの時間だよ」

いつものごとく書斎室で葵と楓の娘2人と資料の整理をしていた

クーラーがないと絶対無理な暑さだったな

熱い夏場も去り夜には涼しい風が吹き始めた

来週からは中庭で資料の整理をしようかな

「うん・・パパ・・・パパ、一つ聞いていい?」

「何?、楓」

「パパの左側の生え際部分のこのあたりなんとなくコブになってるようにみえるけど・・・

どうしたの?」

「あ・・・これな・・・パパが小さいときにね、見知らないおじさんからゲンコツをもらったみたいで・・・3日間ほどコブが引かずに熱を出しててばあちゃんがずーと看病してたみたいだよ」

「え!知らないおじさんに叩かれたの?パパ!」

「そうみたい・・・もうね・・記憶が曖昧でよく覚えてないんだよな・・・」

「ひどいことするおじさんなんだぞ!!!許せないんだぞ!!!」

「今は痛くないの、パパ?」

「うん、今は痛くないよ」

「明日はみんなで商店街でおやつなどたくさん買おうね」

「うん、明日が楽しみ!!!」

「あ!そうそう・・・いいかい2人とも知らない人から声をかけられても絶対について行っちゃだめだよ」

「うん、わかったんだぞ」

「とくにじいちゃのような怖い顔の人には気を付けるんだよ」

「え!?うん・・・パパ」

咄嗟におやじの名前が出てしまった・・・・・

「楓、葵を連れて行っておくれ」

「うん、わかったよ、おやすみ、パパ!」

「お休みなんだぞ!!」

2人は手をつないで部屋を出て行った

とりあえず私はリビングへ向かった

リビングにはS君一人だけだった

「あれ・・・みんなは?」

「あぁぁ・・みんな寝たよ」

「S君、明日はどうするのさ?」

「あぁ・・・明日は俺は留守番するわ」

「OKOK!!!まぁ適当に冷蔵庫や保管庫を漁って何か食べててくれればいいさ」

「そうそう・・・台所の下にある収納スペースに和尚様からもらった酒をオヤジが隠してるから、絶対に飲まないでおくれよ」

「おお・・・当たり前だ、絶対に飲まないよ・・・」

「冷蔵庫にはジュースとビールが転がってるから飲んでおくれ」

「おお!!いいね!まだまだ昼間暑いからな、OKOK」

わたしは今さっき楓に指摘された部分を手鏡でのぞいた

たしかに少し膨らんでる・・・

久しぶりに見た

しかし・・・どこで・・・知らないおじさんに叩かれたのが思い出せない

「おぉ!・・・どうした?鏡を持ってさ・・・」

「あぁ・・・いまさっきな・・・楓に言われたんだよ、ここの部分をな」

「どれ、みせてみ・・・確かに膨らんでるな・・・これどうした?」

「実は思い出せないんだよな・・・」

「そっか・・・」

私はソファで寝込んでしまったようだ

「パパ、いつまで寝てるのさ!!」

「みんな起きてるんだよ」

私はパッと起きて朝食をさっさとすました

おふくろは町内会の用事で朝からいなくなるとか・・・

巧と仁は野球の試合で一日中グランドとか・・・

オヤジはなぜかウキウキ気分・・・

いつも愛想のない顔なのに・・・これは絶対に何かが起きる!!!

一つ思い出したことがある

オヤジにおやつやお小遣いなどカツアゲされていたことを思いだした

まだ私が小学校5年生までは一人で行く場合はなぜかオヤジ同伴でしか商店街に行ったらダメというルールがあった

当時は理解できなかったが・・・昔の商店街は・・・・昭和の商店街を知ってる人ならわかると思う・・・

特に私の住む商店街は

治安がよくなかった・・・だから強面のオヤジがついていくことになっていた

いやむしろ・・・このルールが逆だと思うぞ・・・

商店街でおやつやジュースなどF子も楽しそうに買い物をしていた

買い物が終わり・・・商店街を出たところで・・・オヤジの態度が一変・・・

「おい!F!まだ!お小遣い残ってるやろ!パパに少しだけ恵んでおくれ」

「嫌だよ!!!」

「ナニーーー、テメェ、親がよこせって言ってるんだよ!!!」

まだ幼い時のF子はビビってすぐに渡ししてしまっていた

「シバクゾ!!!」

あの怖い顔が近づいてドスの利いた声で

「テメェ、シバクゾ」

もう完全にびびってしまって・・・お小遣いを巻き上げられていた・・・

まぁ・・・S君兄妹との出会いがあってからオヤジと一緒に行くことは一気に減ったけど・・・

その巻き上げたお金で・・・パチンコなどしてたんだろうな・・・

半べそをかきながら家へ帰ったことをたまに夢で見る・・・・

今、オヤジはその表情なのだ・・・・

朝9時頃になった

「よし、行こう!」

おいおい仕切っているのがオヤジかよ・・・・

「葵ちゃん、じいちゃの背中に乗れ、楓ちゃんはわしの手を握ってるんだぞ」

S子とF子は別段気にしないでおしゃべりをしながら歩いていた

私は・・・・オヤジの本性をよく知っている・・・・

孫娘たちはそこまでわかっていないだろう・・・

素直に葵はオヤジの背中に乗り楓はオヤジの手を握りながらおしゃべりをしながら歩いていた

背中に乗った葵は一気に目の視線が高くなったのであちこちきょろきょろと見回していた

ギャギャと喜んでいた

途中で駐在所のおまわりさんとすれちがった

「おやっさん、おはようございます」とあっちから声をかけてきた

もう・・・昔みたいな挙動不審で署まで連れていかれることはなくなった

あの怖い墓地を避けて遠回りをした

商店街が見えてきた

何気に人の多さに驚いた

「え!こんな感じだったけ?」

「なんか・・・わんさか・・・いるよ、アニキ」

「なんか・・・新しい・・というか・・・懐かしいというか・・・」

「いくらリニューアルしたって・・・なんかなぁ・・・」

みんな頭に疑問符がついた

「あれ・・・喫茶店・・・どこ行った?」

商店街入り口にあのきれいなお姉さんがいる喫茶店がある・・・はず・・・

「アニキ・・・この景色ってさ・・・私たち小学校から中学校時代の商店街にそっくりなんだけどさ・・・」

たしかに・・・私たち兄妹とS君兄妹の4人は結構商店街で遊んでいた

「おっちーーー、懐かしいんだぞ・・・」

遠くから小さな男の子の泣く声がしてきた

「いやだーーー、このおもちゃ、買ってほしい!!」と子供特有のタダをこねていた

「駄目だよ、高いじゃないかい・・・・こっちの安いほうにしておくれ・・・」

といいながらその子の母親らしい人は店の奥へ入っていった

「ピーピーとうるさいガキだな・・・この俺様が制裁してやるわ」と

いいながら葵を背中ら降ろして泣いている男の子の前に立った

「クソガキ!!ピーピーとうるさいぞ!親が駄目だと言ったらダメなんだよ、わかったか!!」

その子はオヤジを見てさらに泣き叫んでいた

「クソガキカァーーーー!!!」

おやじの鉄拳がその子の左側の頭部分に当たった

「おい!!!!!オヤジ!!!やめろーーー」

時すでに遅し・・・・

その子はストンと尻もちをついてものすごい形相で泣き出してしまった・・・

その子のうしろから妹らしき小ちゃい子が出てきた

兄を見てつられて泣き出してしまった

オヤジも・・・我に返り・・・・その子を見つめていたんだろう

私たちは慌ててやじうまをかきわけてオヤジのところに来た

「おい!オヤジ、どうするんだよ・・・・」

「いや・・・勢いというか・・・」

「じいちゃ・・・・まだこんなちいちゃいんだよ・・・なんで叩くの!!!」

「いや・・・そのぉ・・・・」

「おい!F!俺は何も知らん!!!あとは任せたぞ!!!」

と捨て台詞を残して猛ダッシュで逃げて行った・・・・

その子の額からみるみる腫れてきた

外の騒ぎが気になったのか母親が出てきた

「なんの騒ぎたい・・・・」

一目・・・息子の状態を見て激怒の顔になった

「誰だい!!私の大事な息子をケガさせたのは!!!」

あれだけ人たがりのやじ馬が一斉に引いていった

「あんたかい!!!私の大事な息子をこんな目にしたのは!!!」と

私と真正面になった

「おふくろ・・・」とつぶやいてしまった

少し冷静になってきた

よく見ると・・・叩かれたのはこの俺だ!!!!

横で泣いてる女の子は・・・F子じゃないか!!!

「冗談じゃないよ、あんたさ、まだこの子、ちいちゃいんだよ、わかる?」

「いや、私が叩いたんじゃないです」

「じゃあ誰だよ、この子をこんなひどい目にあわしたのはさ」

「うちのじいちゃ・・・・」

と楓が前に出て若い時のおふくろに食って掛かった

「はい?じいちゃ・・・・?あのさ・・そのじいちゃとやらはどこにいるのさ?」

「逃げた・・・・」

「はい?逃げた?・・・・謝らずに逃げたのかい?」

「うん・・・逃げた・・・・」

段々と若い時のおふくろも落ち着きをみせはじめた

ことの経緯を若いおふくろに説明をした

「なんでこった・・・自分だけ逃げたのかい・・・どういう親だろうね・・・」

私たち家族全員下を向いてしまった・・・・

「さぁさ・・泣きやみな・・・いたかったろう・・・ちょっと血がにじんでるな・・・ちょっとまってな・・・」

といいながら若いおふくろは薬局へ行って赤チンと絆創膏を買ってきた

「ちょっとしみるよ・・・・」

「いたーーい、ママ、痛いぞ・・・」

小さい俺はなんとか我慢しながら額に絆創膏を貼られていた

「F!!!F子!!!もう帰ろうか・・・・

あんたたちも家まで来てもらうよ」

「はい・・・・」

なぜか・・・楓は小さい時の私を握り葵は小さい時のF子の手を握りながら歩いた

「パパ・・痛いの?」

「パパ!?・・・痛いよ・・・」

「パパ・・・かわいそう・・・」

しかし・・・この4人・・・違和感がない

すべて後姿が同じ・・・

「アニキ・・・この4人・・・ぜんぜん違和感ない・・・笑っちゃうよね・・・」

「おっちーー、なにこれ・・・後姿全員同じじゃない・・・」

「あれまぁ・・・なんだろうね・・・後姿がそっくりだね・・・」

と若い時のおふくろも同じセリフを言った

やっとこさ家に着いた

「さぁさおあがりなさい」

と促されても・・・・

順に靴を脱いでリビングへ行った

「F!、おまえは隣の部屋で寝てるんだよ」

「うん、ママ」

小さい俺は隣の部屋へ行った

慣れた手つきでおチビちゃんたちは座った

「ちいちゃい子たち・・・慣れた感じで座ったね・・・」

「あ!いや・・・そのぉ・・・すいません」

椅子は当時の家族構成の4人分しかない

後にS君兄妹たちがお泊りなどしてから2席分の椅子を足したのだ

もちろんソファやTVなどはない

なんとなく広々としてる

「困ったね・・・座る椅子がないよね・・・私たち家族は4人なんだよ・・・」

「いや・・・お構いなく・・・・立ってますから・・・」

「そうかい、すまんねぇ・・・・」

「もし腰を落ち着きたかったら・・・2つ隣の横の部屋の和室で座るといいよ」

ここに当時はTVが置いてあった

当時ははここが両親の寝室だった

隣の書斎室・・・というか当時はまだ改装していないから2つ和室があった

その奥に仏間だ

今はおふくろ夫婦の寝室になっている

2階は私とF子の子供部屋

「F子!今日はお兄ちゃんがああいう状態だから私たちと一緒に寝るんだよ」

頭だけうなずいた

まだしゃべれなかったはずだ・・・・

葵が小さい時のF子に話しかけはしているがまだうまくしゃべれないので少しがっかりしていた

「パパ、小さい時のF子お姉ちゃんって本当にかわいいね、なんかもうひとり妹がいるみたい」

「F子おねえちゃんは本当にかわいいんだぞ」と葵が口走ってしまった

この葵の性格はまず間違いなくS子だ・・・遺伝している・・・・

「葵!!」と楓が口元でシッとボーズをした

葵も真似をしてシッをした

「さぁ・・・さ・・・これ・・・昨日の残りなんだけどさ・・・お食べ・・・といっても・・・座る椅子が無くてはね・・・・」

急遽・・・・仏間に全員移動した

長い木のテーブルが置いてあった

「さぁ・・・さ・・・ここなら全員座れるよ・・・」

「やったーーー!!!ばあちゃのカレーーーだ!!!」と楓が叫んでしまった

「ばあちゃ????わたしはそこまで老けてないけどね・・・」

「いや・・・ごめんなさい・・・」

「パパ・・・ごめんね」

美味しい・・・

「おっちーーー、美味しいんだぞ」

S子のバカでかい声が響いた

小さいF子はなんとかスプーンで口元まで動かして食べてる様子

その仕草がかわいい

「小さい時の私・・・ああやって・・・食べてたんだね、アニキ」

「だな・・・」

一斉に楓や葵やS子は小さいF子に注目をした

それに気づいた若い時のおふくろは

「この子は・・・「F子」と言うんだよ・・・まだおしゃべりはできないけどね・・・

いつもお兄ちゃんの後ろにいるんだよね・・・・ほかの人から話しかけられても恥ずかしいのか・・・いつも後ろに隠れてる・・・人見知りの激しい子だよ・・・」

わかってる・・・この人見知りが後々・・大変なことになる

食事を終え

おちびちゃんたちは部屋の隅で遊びだした

遠くから聞き覚えのある声が聞こえてきた

いきなり襖が開いた

「帰ってきてやったぞ!!!」

若い時のオヤジだ

S子とF子は若い時のオヤジを見て目が点になった

リーゼント頭の若い時のオヤジ

眼光鋭くまさにチンピラ

いつもならギャーギャーと騒ぐのに今は目が点になったまま身動きできずにいた

「お!めずらしいな、お客さんかよ」

「お邪魔してます」と私は挨拶をした

「おうよ!!あれ、Fはどうした?」

「Fはね・・・リビングの隣の部屋で寝てるよ」

「そっかい・・・見てくるか・・・・」

若い時のオヤジは出て行った

「おっちーーー、びびったぞ!」

「わたしも・・・・」

「すまないね・・・怖かったろ・・・昔からの不良でね・・・」

百も承知・・・

すごい勢いで足音がした

襖が開き

「おい!目の上あたり、なんか腫れてるぞ!なにかあったんだよ」

「いやね・・・昼間ね・・・商店街へ買い物行ったんだよ・・・

いろいろとあってね・・・・その子たちの父親がFを叩いたんだよ・・・」

「なんだと!!!おい!!おまえ・・・どうしてくれるんじゃ」

「いあ・・・私じゃないですぅ」

「パパじゃないよ、じいちゃだよ」と楓が間に入った

「なに・・・じいちゃ・・・そいつはどうした?」

「じいちゃ・・・逃げた・・・・」

「なんだと、逃げた!お前たちを残して自分だけ逃げたんかい!!」

「そうなんだよ・・・・そのじいちゃとやらが自分だけ逃げてね・・・」

「絶対に許さんぞ!かわいい息子を叩きやがってよ、八つ裂きにしてやるぜ!」

ドスの利いた低い低音の声が響き渡った

今まで小さいF子と遊んでいた葵がふいに若い時のオヤジを見た

激怒したオヤジの顔はまさに閻魔大王みたいな顔に映ったのかしれない

「じいちゃ!!!殺される!!!わぁーーーー」と突然泣き出した

「わぁ!!お嬢ちゃん、泣かないでね・・・」と若いおやじは我に返ったが・・・

葵の大泣きは泣き止まず

「おっちーー、びっくりしたね、葵ちゃん、泣かないでおくれよ」

とS子がなだめた

「かわいそうにね・・・怖かったね・・・さぁさ・・」

もうそろそろ限界だと感じ私たちは頭を下げて家を出た

出たのはいいけど・・・元の時空間へ戻れるのかな・・・

「長年の謎がすべて解けたよ・・・・

まさかの真犯人がオヤジだとは・・・・」

「おっちーーー、びっくりだぞ・・・」

「わたしもびっくり・・・わたしも記憶が曖昧だったからね・・・というかわからないはずだよね」

「さて・・・どうしよう・・・」

「困ったね・・・・」

「一度商店街へ行ってみるか」

「おっちーー、そうしよう・・・・」

全員が疲れていた

商店街の入口付近まで来た

入口あたりからフラフラと人影が近寄ってきた

「おい!Fかい?」

「オヤジ!!!」

「じいちゃ!!!!!!」

こうしてオヤジと再会できた

オヤジに今までの経緯をすべて話をした

「なに・・・叩いたおチビがFだって・・・・

若い俺が・・・「八つ裂き」にしてやるって言ってたのか・・・

まさかな・・・Fの頭を叩いたやつが俺だったとはな・・・・」

しばらく呆然としていた

「しばらく休憩した後に「お家」へ帰ろう」

トボトボと歩いた

自宅へ着いた

まさか・・・もありえるので・・・オヤジが犠牲になってもらおう

「おうよ、わかったぜ」

「帰ってきたぞ!!」

奥から足音がした

「おう!!!じいちゃ!!!遅かったじゃん!!!」

巧が玄関に出てきた

みんな安心のため息が出た

ゾロゾロと家へ入っていった

「遅かったね!どこまで行ってきたのさ」とS君がからかいをしてきた

「アニキ!!!からかわないでよね!!!」

とF子が怒った

「え・・・なにも怒ることはないだろ・・・」

「パパ・・・私疲れたから寝るね・・・」と楓が私に言ってきた

「葵も連れて行っておくれ」

「うん・・・葵、行くよ」

「待って・・・あたちも疲れたんだぞ」

「私たちも疲れたよ、先に寝るね、パパ」

S子とF子も寝室へ行った

「じゃあ、俺たちも部屋へ行こうぜ、仁!」

賑やかだったリビングは一気に静かになった

ソファでくつろいでるS君のそばによって今日1日起きたことを話をした

「へぇ・・・・そんなことがあったのか・・・・長年の謎が解けたけど・・・

おやっさん・・・自分自身で「八つ裂き」にできるのかな・・・・」

「そっかい・・・そんな不思議なことにあってたんだね・・・」

とおふくろが割り込んできた

「しかし・・・あやつ・・・自分だけ逃げるとはね・・・

情けないね・・・・」

「おやっさん・・当分自分自身を責めるだろうな・・・」

「だと思う・・・」

写真を撮ったのでおふくろとS君とで3人でデジカメの画面を見た

「懐かしいね・・・あんたたちがまだ小さい時の商店街かい・・・

懐かしいお店がずらりと並んでる・・・」

「お!なかなかうまく撮れてるじゃん・・・お!!これって若い時のおふくろさんじゃないかい・・・むちゃくちゃかわいい」

「どれどれ・・・あぁ・・・・私だわ・・・こんなに私の体って細かったの・・・・

今じゃ・・・・子育てに夢中で自分を見る時間がなかったからねぇ・・・」

「下手するとF子やS子より体の線が細い・・・すげーな・・・」

「これは!!!!ちいちゃいときのあんたじゃないかい・・・・後ろにいるのはF子かい・・・」

「お!F!かわいいじゃん・・・・F子・・・指くわえて・・・何してるんだ?」

「葵がF子にいろいろと話しかけても頭をうなずくだけで・・・葵、少し怒ってたな・・・」

「指しゃぶりだよ・・・S君・・・しかし・・・本当に懐かしいね・・・

このまま時が止まってくれればいいのに・・・小さい時のF、F子・・・この時が一番幸せだったかもしれないね・・・」

「今じゃ・・・あのトンチンカンオヤジの面等を見る羽目になるとはね、おふくろ・・・

「はぁ・・・あの時はね・・・あいつ・・・めえちゃくちゃカッコよかったんだよ・・・

全学年の女子はあいつがくるとキャアーキャーと騒いでたんだから・・・・

でも中身はね・・・・チンピラそのもの・・・・喧嘩沙汰はほぼ毎日・・・1か月に1回は警察から呼ばれてたわね・・・小さい時のFやF子を連れて散歩してても誘拐犯だと思われて毎年の春ごろには私が警察まで行って事情を話してたんだよ・・・毎年新人の警察官は初手柄だと思って威風堂々とあいつをつれていくんだけどね・・・逆に説教されてる始末だし・・・」

「あはははは・・・ほんと、あのおやじ・・・毎年間違えられて連れていかれてたな・・・

警察官からF子や俺におやつやジュースをもらって大人たちの行動を見てたよ・・・

滑稽だったな・・・」

「へぇ・・・そんなことあったんだ・・・おやっさん・・・どう見ても堅気の風貌じゃないもんな・・・」

「これこれ!!リーゼント頭のオヤジ!!!まさに不良!!!」

「どれ!!!わぁ!!!!・・・・・・・うっ!怖ぇ~~~、こんなのに絡まれたらもう終わりじゃん!!!」

「おい!テメェラー、今何時だと思ってるんだよ、早く寝なよ!!!」

突然オヤジがリビングに来た

一同体がビクッとなった

「わぁ!おやっさん!!!すんません!!!」

「????なんだ?どうしたS君!!!」

「いやぁ・・・そのぉ・・・この写真を見てビビってるところにおやっさんが来たもんで・・・」

「お!俺じゃないかい!ビシッと決まってんじゃん!!!懐かしいな・・・

お!○○(おふくろの名前)じゃん、めちゃ細いじゃん、今じゃ関取だよ、わははははは」

「お、お、おやじ!!!おふくろ・・・そのソファに腰かけてるだよ・・・」

「え!!!!・・・いたのかい・・・・俺、寝るわ、じゃな!」

「あんた!!おまち!誰が関取だって!!!寝室へ行こうな!!!」

「はい・・・・」

今さっきの勢いはなく単に悪戯したガキみたいにおとなしくおふくろの後についていった

「すげーーな、おふくろさん・・・あんなすげぇ顔を2、3回ビンタしたんだ・・・

おやっさん・・・明日・・・葬儀の用意をしたほうがいいんじゃない、F」

「あはははは!!!みんな考えは同じだね・・・・」

懐かしい・・・・有意義な一日だった・・・

コブの真相もわかったし・・・・

しかし・・・このデジャブ・・・今回だけで終わらなかった・・・

誰の意図が働いているか知らないけど・・・・

Concrete
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