大学の時、友人の彼女で後輩にあたるなっちゃんから聴いた話です。
なっちゃんのお母さんは良く車で道に迷うそうで、決まってカーナビに従って迷うそう。そして、決まって行き着く先は墓地。そんなことが余りにも多く、カーナビを買い換えようかと言いながらも、相変わらずなっちゃんのお母さんはカーナビを信頼しているそうです。墓地に行き着くことに慣れてしまった、なっちゃんがこれは怖かったと教えてくれた話です。
お母さんとショッピングを終えた帰り道、その日もなっちゃんのお母さんはカーナビに従って家を目指します。
しかし、カーナビが示すのは今まで一度も走ったことの無いような山道。なっちゃんはいつものように不安に思い、「この道はおかしいよ」と言いますが、「カーナビがこっちが近いと言っているけん、間違いなか」と頑として聞きません。道は鬱蒼とした森のなかを走り、街灯もほとんどなく、月明かりが異様に強く感じるような道です。本当に大丈夫かなと思った矢先、車は急に開けたところに出ました。
森の中の急に開けた草原に、お墓1つだけ、煌煌と月明かりに照らさられて立っていたそうです。そこで行き止まり。
あれは本当に怖かったと、なっちゃんが語ってくれたことを思い出します。
作者ター坊