子供の頃に体験した話です。
私は毎年夏になると田舎の祖父母の家に泊まりにいきました。
祖父母の住む土地では、祝い事があると家の屋根の上から家主が5円玉や50円玉に紐を通したものや、駄菓子やおもちを下にいる人たちに向かって投げる風習がありました。
親族でなくても参加していいんだよと祖父母に言われた私は、ちょうど出かけたときに見かけたその風習を行ってる家の下に行きました。
嬉しそうな顔をしながら夫婦でお金と食べ物を投げていました。
私は意地汚い方だったので、お金の音に反応して誰よりも早く5円と50円を拾いつつ、好物のおもちもゲットしました。
私はもの拾いに必死だったので気が付くのが遅くなったのですが、気が付くと隣には猟銃を構えたおじさんがいました。
おじさんは「人の女を横取りしやがって」と言うと、持っていた猟銃で上からお金をまいていた男の人を撃ちました。
撃たれた男の人はそのまま下に落ちてきて、ぴくりとも動きません。
男の人の近くには長財布が落ちていて、札束も入っていました。
猟銃を撃ったおじさんはその財布を拾うと、どこかに去っていきました。
当時は「こういう拾い方もあるのか」と感心していましたが、今考えると撃たれなくて良かったと思いました。
作者幽霊部員