彼は東京に住んでいた。
彼はまだ学生だった。
かなり時給のいいアルバイトを見付け、彼はそこで働けることになった。
社長が倉庫まで案内してくれた。
「これがうちの商品だ」
社長が箱の数を数え始めた。
「一万、二万、三万、四万、五万。全部で五万個だ」
彼にはそう聞こえた。
箱は五つだけだった。小型冷蔵庫が入るくらいの大きさだった。
「一つの箱に一万個も入っているんですか?」
彼はまだこの会社が何を扱っているのかを知らなかった。
「違う」
社長は言った。
「中身は生きた女の子だ。今日は珍しく男の子の注文が幾つかあってね。君が最初だ」
言いながら社長は懐からハンカチを取り出すと、彼の口に押し当てた。ハンカチにはクロロホルムが染み込まされていた。
「な、何を!」
彼は叫んだ。が、急速に意識が遠のき始めた。意識の残る僅かな時間に彼は思った。
──そ、そうか……。きっと僕らが数えられるときには、一チ……ン……
作者いも
お待たせいたしました、お待たせし過ぎたかもしれません。