俺の名前は”佐藤 しんじ” A高校の男子生徒だ。
俺は昔から人をいじくるのが好きで、友人にちょっかいを出してはよく追いかけ回されていた。
そんなこんなで中学校を卒業して高校に入ったとき、俺はある奴らと仲良くなったんだ。
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最初は知らなかったがそいつらは”ひとし”という気弱な男子をいじめてたんだ。
俺はいじめを止めようと思った、だけど無理だった。
アイツらの大本はある大手不動産会社だからだ。
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かんたんに説明するとひとしをいじめていた奴らのリーダー的なやつがその大手不動産会社の社長の息子でひとしの父親はその会社に多額の借金を持っていたわけで、ひとしをいじめているのは父親に息子が可愛そうと思うなら借金を早く払えということだったのだ。
そういうことでこのいじめは学校側も何も口が出せなかった。
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ひどいと思わないか?今の世の中。
別にひとしには親の借金なんて関係ないし、自分の子供が自分のせいでこんな目にあっているのに助けようともしなかった親も親だ。
そしてひとしは死んだんだ。
何者かの手によって殺された。
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しかもひとしを殺したやつは異常で、目と両手と両足をすべて切断してバラバラに隠したんだ。
ひとしが見つかったとき、それにひとしの面影なんてなかった。
俺はもう許せなかった。
俺の脳に浮かんでくる言葉は一つ。
「殺」
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ひとしは毎日いじめられてなおもくじけなかった、それなのに殺された。
ひとしを殺した犯人は未だ逃走中で、体を解体した理由は臓器や体の一部を闇医者に売りつけるのが目的と思われている。
俺は何もできなかったひとしのために今日、2週間前から計画していた計画を実行する。
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まずはあいつらだひとしをいじめた張本人たち、そいつらを殺す。
俺の計画はこうだ、まずはあいつらを呼び出す。
それからひとしの死体が見つかった廃病院に連れていきそこで持参した刃物で全員殺す。
そう、ひとしが死んだところと同じところで。
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最初に皆を呼び出そう。
どうやらその日は皆でテレビゲームをしていたらしくとてもみんなを不機嫌にさせた。
まあこれから死ぬんだから今更コイツラを怖がらなくてもいいのだ。
それより覚悟したけどその後の警察のほうが怖い。
まあひとしのためなら自分のできることをすると決めたのだ。
今更もどれはしない。
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皆を廃病院に連れてくるとき結構苦労した、みなは口々になんでわざわざそんなところに行くんだよとかなんか出るんじゃねーとか言っていた。
のんきなもんだ今から殺されるくせに。
俺は皆が廃病院に入ったのを確認して扉を閉めた。
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「おいなんで閉めるんだよ」
俺は質問に対して何も答えなかった。
しばらく沈黙が続いた。
だめだ手が震える。
いざ人を殺すとなるとまじで無理。
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これじゃひとしに悪い覚悟決めろ俺!
そして、「死にやがれー!」と相手グループのボスに切りかかった。
流石にビビったのか「おいっちょまて!」
と言った。が、俺は止まらず腕の根本あたりを包丁で貫いた。
「ぐあっ」、鈍い音とともに悲鳴。
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「ちっ急所外したか」
一発で決められたならまだよかった。
しかし怪我をしたやつに二発目のとどめを刺す勇気などなかった。
だがそれでも俺がやらなければと心にきめた。
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俺は倒れ込んだボスの胸のあたりを刺そうとした。
「頼む、やめてくれっ」 周りの奴らは助けようとしない。
俺は刃物を振り下ろした。
その時。
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「ぺちゃっ」「ぺちゃっ」 「ぺちゃっ」
と、病院の奥の方から音がした。
「誰かいるのか!」 俺は刃物を病院の奥に向けた。
「ぺちゃっ」 「ぺちゃっ」 「ぺちゃっ」
音はどんどんこちらに向かってくる。
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そしてその姿が見えたとき、周りの人間は時が止まったかのように動かなくなった。
いや動けなかったのだ。
恐怖と絶望で何もできなかった。
その「ぺちゃっ」の音の正体は両手と両足、さらには首までもがなく。
まさしく死んだときのひとしだったからだ。
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「ひとし、なのか?」俺が震える声で問いかけると。
少しこちらに反応した。しかしすぐに無視をして倒れているボスのところへ動き始めた。
「くっくるなっ!」そう叫んだがつかの間。
ぐしゅっ、ひとしの体と思われるものがボスの刃物で貫かれた腕に勢いよく乗っかった。
「ぐわーーー」 ボスのでかい悲鳴が聞こえると同時にボスの片腕がちぎれた。
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するとひとしの体と思われるものはそのちぎれた腕に近づいて自分の体のもともと腕があった場所にちぎれた腕を近づけた。
そして、ぐりっぐりっ。
自分の胴体とつなげ始めたのだ。
皆が呆然と立ち尽くす中、腕をつなぎ終えたひとしの体と思われるものはつなげた腕を使ってボスのもう片方の腕を引きちぎり始めた。
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とてつもない悲鳴が聞こえる。
ぐしゃっ、またしても腕がちぎれる音がした。
ボスはひくひくと痙攣してやがて動かなくなった。
動かなくなったボスを見て不機嫌になったのかひとしの体と思われるものはボスの体をめちゃくちゃに踏んづけている。
その間も鈍い音がし続ける。
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次の瞬間、ぐしゃっっっ。
今までで一番大きな音がした、ひとしの体と思われるものがボスの体を貫通したのだ。
その音でみなは我に返り、悲鳴を上げてもしくは泣きながら逃げ始めた。
しかし俺は逃げなかった。
「お前はひとしなのか?」と聞く。
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するとひとしの体と思われるものは嬉しそうにその場でぐるぐると回り始めた、「ぺちゃっ」 「ぺちゃっ」 「ぺちゃっ」 「ぺちゃっ」 「ぺちゃっ」 「ぺちゃっ」
やがて疲れたのか回るのをやめて病院の奥へと帰っていった。
俺はその場に崩れ落ちた。
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何だったんだ?
意識がはっきりしない。
あれはひとしだったのか?
もう疲れた今日は帰ろう。
俺はトボトボと帰宅した。
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後日からそのことに関わったものは誰一人として学校に来なくなった。
俺は来ているが全く問題ないわけじゃない。
まだ耳に残ってるんだあの「ぺちゃっ」 「ぺちゃっ」 っていう音が。
それで夜うなされるし、散々だ。
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あれがひとしかどうかはわからないけど。
皆も病院で「ぺちゃっ」って音がしたら逃げたほうがいい。
あいつは自分のなくなった体の一部を探してる。
つまり両足と顔をまだ探してるってわけだ。
その2つを取られたくなかったら逃げることだな。
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俺はもうあんな思いしたくねえな。
それかだ万が一逃げれなかったら死んだふりをすればいい。
やつは死んだ人間の体は取らないっぽいから。
まあ運が悪けりゃあのボスみたいになるけど。
まあとりあえず気をつけろってことだ。
じゃあなっ!!
作者イカスミ
怖くはないかもしれません。