短編2
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本当に怖いもの

僕は昔から幽霊という存在を怖がっていました。

いるかいないかはっきりせず、昔見た映画のフランケンシュタインのような怪物や、形などがなく顔がなかったり腕がなかったりなどのホラー的な幽霊。

姿はいろいろですが、一つ言えるのが全て僕にとっては怖いということです。

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僕は幽霊というものを見たことがないにも関わらず、幽霊に対しての恐怖感が半端なくありました。

そんなある日、僕はある体験をしました。

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あれは僕が夜、友達と肝試しにいったとき。

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僕たちは少し山奥にある神社で肝試しをしました。

内容は一人一人神社に入って神社の奥まで行ったらラインで次の人いいよ、と送る。

そうすれば次に待機していた人が動き出す。

そういう内容だ。

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とても怖がりな僕は真ん中の3番目に行くことを要求した。

しかしみんなはお前が先にいけと言う、内心みんなも怖いに違いない。

気の弱い僕は勢いに押されていいよと言ってしまった。

確かに怖かったが実際歩く距離は150メートルぐらいなのでみんなとあまり離れることはない。

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渋々歩き始めたのだが、50メートルぐらい行ったところでかすかに、「コン」「コン」「コン」と音がしてきた。

なんだろうと思い音のする方を見ながら進んだ。

更に50メートルぐらい進んだところで気づいた。

暗闇の中に人がいたのだ、しかもその人は木にワラ人形を打ち付けていた。

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やばい。そう思ったのはその人の顔が見えてからだ、その人の目は血走っておりめちゃくちゃ笑っていた。

全身鳥肌が立った。

逃げなきゃ。幸い向こうはこちらに気づいていない。

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僕がゆっくり引き返そうとしたとき、「ピロリン」 ラインの通知が来た。

夜の神社に響く通知音。

僕はワラ人形を打ち付けていた人の方を見る。

笑っている。

こちらを向いて、あの血走った目で、僕を見ている。

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僕は走った無我夢中で走った。

明らかに後ろから追いかけてきている。

時おり後ろから声が聞こえる「けけけけけけ」と不気味な声が。

ヤバイ、捕まったら殺される。逃げなきゃ、逃げなきゃ。

どんどん声が近づいてくる。

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だんだん明かりが見えてきた、友達が待ってる。

僕は滑り込むようにして友達がいるところへと入り込んだ。

そして後ろを向くと、やつはいなくなっていた。

僕はこのあとみんなに事情を話して肝試しを中断した。

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このことを体験してわかったことがある。

幽霊より断然この前のことのほうが怖かった。

それと今思ったのだが、ホラーの映画とかそういう番組はすべて人間が作っている。

ああいうものが人間の頭から生まれたものだとするなら。本当に怖いのは人間かもしれない。。。。

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@ししなべ様
コメント、怖ポチありがとうございます。
人間とは実に怖いものです、その時の感情だけで同じ生物である人間を殺めてしまうこともあるぐらいですから。

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@anemone様
コメント、怖ポチありがとうございます。
たしかにその行動自体が怖いですね。
私がこの話で言った。本当に怖いのは人間だ、ということに関して。
よく理解していただけたら嬉しい限りです。

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丑の刻参りは、誰かに見られてしまうと呪いが自分にくるので、呪いをかけている人は必死です。
丑の刻、夜中の二時に、白装束に頭にロウソクをつけ、誰にも見つからないように神社に向かう。それができること自体、その人はもう、心が壊れてます。
「向こう側」にいかないと、できることではないと思います。

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