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風呂に関する短い話 十五

短編1
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風呂に関する短い話 十五

祐次さんの祖父は風呂で本を読むのが好きだった。

湿気でページが歪んでしまい、保管にも処分にも手間取るので家族はよい顔をしなかったが、本人はどこ吹く風で気にとめる様子もない。

しかし心臓を手術してからは、健康面から長時間の入浴を控えるよう指示された。

それでもこの習慣を改めず、ある冬に風呂で読書をしたまま亡くなっているところを発見された。

四十九日が終わるころ、祖父の書斎を整理しようとすると。

祖父の所有していた本棚に収められたすべての本が、いちど水で濡れ再度乾燥したような状態で、倍ほどの厚みに膨れ上がりギッチリと収まっていた。

たった一冊を抜き取るのすら難儀したという。

Concrete
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