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短編1
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ブレーメン

智子さんが街を歩いていると、知らない女性に

《あなた、ずいぶん動物に愛されてるわねえ》

と声をかけられた。

いわく、智子さんの後ろを整列して後をついてくるような状態で、たくさんの動物たちが並んでいるのだという。

智子さんの真後ろ、行列の先頭にいるのは《毛の長い茶色の犬》で、それは智子さんが最初に飼ったペット、小学生のころに家にいた犬にとてもよく似ていた。

そのうしろを猫がかぎまわり、カメがのろのろと後を追い、熱帯魚が宙を泳ぎ、ジャンガリアンがせわしなくついていき……とまだまだ続いていくのだが、その順番は、智子さんが飼育し最期を看取ってきたペットの遍歴と同じであった。

長い行列の最後尾を《小さなウサギ》がちょろちょろしていると女性は言う。

それは確かに、つい一週間前に亡くなってしまったペットであり、特徴なども一致した。

《べつに悪いものじゃないと思うけど、なにかの役に立つわけでもないね。ただ、すっごく面白いよ》

女性はそう言って呵呵大笑。そのまま去っていったという。

有名な霊能者ではないかと後に調べてみたが、該当する女性は見つけられなかった。

それから智子さんは、外を歩くだけでも楽しい気分になるという。

ただ、行列の長さを聞きそびれた。

今後また新たにペットを飼っていいものだろうかと考えている。

Concrete
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