短編2
  • 表示切替
  • 使い方

心霊写真

友人の部屋へ遊びに行った時、おまえに見せたいものがあるんだと言って一枚の写真を見せられた。

写真には友人と友人に寄り添いあう彼女らしき人物が写っている。友人がいうには二人の奥にあるフェンスに顔らしきモノがいくつか浮かんでいるというものだったが、そう言われてみればそう見えるなぐらいの、取り立てて驚くほどのものではなかった。

それよりも友人に彼女がいた事の方が驚きで、友人にそれを冷やかしながら問いただすと、友人はこの写真には自分しか写っていないと言いはじめた。

明らかに友人にひっついて幸せそうに笑う女の子が写っているのに何を言ってんだ?と言い返すと、友人はみるみる暗い顔になり、写真を棚の奥に押しこんでしまったので、その話はそこで終わってしまった。

しかしそれから数週間がたった頃、友人が遠い山奥で自殺したという報せを受けた。あの写真のことが引っかかりなんとなく友人とは連絡をとっていなかったのだが、まさかの事にしばらくの間、俺はボーっとしながら毎日を過ごした。

そんな俺の夢枕に友人が立った。いや、友人一人ではない、あの写真の女の子と一緒にだ。

生気を完全に失ってしまった友人のとなりで女の子が満面の笑みで俺をみる。女の子は俺に向かって懸命に何か話しかけているようだが、俺にはその声がまったく聞こえない。

朝目覚めるともちろん消えているが、眠るとまた二人は現れる。そして日が経つにつれて、女の子の声が断片的に聞き取れるようになってきた。

『…は…ま…えだ…』

この状況からして友人を連れていったのはこの女で、次のターゲットとして選ばれたのが俺だという事はバカにでもわかる話だ。

彼女の言葉…おそらく『つぎはおまえだ!』がはっきりと聞こえてしまった時、俺も友人と同じように連れていかれるのだろうか?

いや、たぶん間違いなくそうなるだろうから、今のうちに昨日自撮りでとったこの心霊写真を持って近くの神社か寺にでも相談に行っておこう。

Concrete
コメント怖い
1
9
  • コメント
  • 作者の作品
  • タグ
表示
ネタバレ注意
返信