短編2
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雨上がりの小道

飲み会帰りに駅から自宅へ長い遊歩道を千鳥足で帰っていた。

この遊歩道は車両進入禁止で自転車か歩行者しかいない

万が一事故にでもあわないように家内から、飲んで帰るときはこの道を帰るように仰せつかっている

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延々と続く桜並木の中には2月の暮れだというのに花が咲いている木もある

最近の異常気象のせいかなと酔ってうろんになった頭で考えた

酔いが周り頭が重く、地面ばかり見ながらフラフラと歩いていたがはたと上を見上げたときに見えた桜に心がなごんだ

しかし、立ち止まり真っ直ぐ前を向き直すと

まったく人気がないのにも気がついた

…この遊歩道ってこんなに人通りがなかったっけ?

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午後10時、いつもは塾帰りの高校生やジャージに身を包んだランナーたちが行き交う時間帯だ

先ほどのほのぼのとした気持ちもさめ、ふと首筋に寒気を感じて振り返った

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がたん、ギィー、ガシャン、がたん…

背後から古い自転車を無理やりにこぐような音が聞こえた

がたん、ギィー、ガシャン、がたん…

音はすれども姿は見えない

後ろじゃなくて前からか?と思い正面に直ると

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ガシャン!

音が近付いた。再び振り返ると

そこには、雨がっぱを着た白髪の老婆が自転車をこいでいた

一体いつからいたのか分からないほど近くに

顔元が影になってみえない

だが、口元は確かに笑っていた

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その日は家に帰って、家内に「なんだか妙な婆さんがいたよ」という話をした

困ったのはそれからだった

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我が家で飼っている犬の面倒は基本的に家内がみている

時々は私も散歩につれて行く

行くのはもちろん近くの遊歩道だ

犬の散歩に来る人も多い

でもね。なんだか今日は人が少ないなと感じるときはいつもそうなんだ

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ガシャン!

ほらまたあの婆さんが来た

ボロボロの自転車に乗って、

こんな雨上がりの日は絶対にあの嫌なにやけ顔を見るはめになるんだ

Concrete
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