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短編2
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焼肉

季節は春。新入生や新入生社員を多く見られる時期だ。

民間企業であるS社も今日は新入社員の歓迎会をしていた。場所は焼肉屋、時刻は夜7時を過ぎていた。

S社は小さな会社であったため、社員同士のコミュニケーションが活発であった。それにより社員仲は良好でもあった。

今日の歓迎会も全員参加という仲の良さだ。社長が乾杯の音頭をとり焼肉が始まった。

皆が食べ始めてから部長が妙なことを言った。

部長「この肉なんの肉だろうなぁ。」

課長「やだなぁ部長ったら。牛肉ですよ、牛肉!」

部長「本当にそうなのかなぁ?」

課長「部長もう酔ったんですか?(笑)牛肉って書いてるんだから牛肉でしょう」

部長「人間の肉ってことはないか?爪とか入ってたりして」

女社員「なんでそんなこと言うんですか。食欲なくなっちゃうじゃないですか。」

部長は構わずに続けた。

部長「私は最近思うのだよ。人間がこれだけ増えた世の中だ。人間が食料として使われるのもアリではないかとね」

部長「はたしてどんな味がするのだろうね。人間の肉というものは。」

周りで聞いていた社員の中には気分が悪くなった者もいた。新入社員も含めて箸が進まない様子だった。その中にいた一人の新入社員だけはとても美味しそうに焼肉を食べ続けていた。その人のことは仮にRとしておく。

課長「部長そろそろ良さそうです」

部長「わかった」

部長は何やら書類を取り出してハンコを押した。課長はトイレに行くことを理由に席から立った。他の皆に気づかれないようサッと部長から書類を受け取りそれを店主に渡しに行った。

次の日、Rの姿は見なくなった。その日の部長と課長のお弁当の肉は同じ色と形をしていた。

部長も課長もこの時期は大好きだった。新鮮な肉が手に入り、それを腕利きの肉職人の手で捌いてもらう。そしてそれを食す、ただ一つだけ不満があるとするならばときどき爪が入っているくらいなものだった。

Concrete
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@ゲル コメントありがとうございます

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