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中編3
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取り憑かれ易い友人

おれには取り憑かれ易い体質の友人がいる。仮に佐藤としておく。

佐藤はよく肩が重くなったり誰もいない家で話し声が聞こえたりすると言っていた。

おれも最初は嘘だろうなと思っていたが、佐藤の家に遊びに行った時のこと。

二階にある佐藤の部屋で一緒にテレビゲームをした後、おれたちは漫画を読んでいた。テレビは使わないから佐藤が消していたのだが、パッと急についてチャンネルが何回も連続で切り替わった。

佐藤が「ヤバいこの部屋から出るぞ」と言ったのでおれたちは一階のリビングへ降りた。

「あんなこといつもあるの?」とおれが聞くと

佐藤「いつもはない。テレビでよくあるのは勝手に電源が点くくらいのものだけ。連続して切り替わるなんてあったことがない」

おれ「それでも部屋から逃げたのはなんで?」

佐藤「テレビのリモコン見たらボタンが勝手に押されてた。途中から気づいたんだけどリモコンには登録されてない番号ってあるだろ?その番号押されたときもチャンネルに繋がってたんだよな。パッパッパって切り替えが早かったから内容までは分からなかったけどとりあえずヤバいと思った。」

ピンポーン玄関の方でインターホンが鳴った。「こんにちはー!ごめんくださーい」

佐藤「出たらダメな気がする」

おれ「なんで?」

佐藤「あそこ、玄関前を見るモニターに何も映ってないだろ?」

おれ「本当だ」

カチッ!今度は中で音が鳴った

「こんにちは」

恐る恐る二人で聞こえた方を振り向くとテレビが点いていた。初めはテレビの中に何がいるか見えなかったが、徐々にテレビの中から画面の方にそれは近づいてきてダンッ!という大きな音がした。

正体は佐藤の頭だった。顔の前面を叩きつけられるように画面にぶつかっていた。ぶつかっては消えまた闇の中からおれたちが見ている画面へとぶつかる。それを繰り返していた。

佐藤は頭を伏せてガタガタと震えていた。おれはテレビに釘付けになって見続けた。

何回も見るうちに佐藤の頭は誰かに投げつけられていることが分かった。

さすがに投手の正体まで見たくなかったから急いでテレビのコードを電源から外した。テレビは消えたが、佐藤は気絶していた。

このまま放っておく訳にもいかないから佐藤の親が帰って来るのを待った。

「キャア!」と玄関の方で女の悲鳴が聞こえた。開けて出てみると佐藤の母であった。

「どうしたんですか!?」とおれが聞くと佐藤母は腰を抜かしたまま「か、顔が、、、ドアを開けようとしたら顔が出てきたのよ」

その後、佐藤の母に家で起こったことを話した。

佐藤の母は信用してくれておれと気絶している佐藤を連れて車で寺に向かった。

お寺ではお経を読んでもらったりお守りをもらった。後は簡単な結果の作り方と盛り塩の仕方を教わった。

佐藤の母に家まで送ってもらった後、おれは玄関に盛り塩と自分の部屋に結界を張った。他の家族には不審がられたが佐藤の家で体験したこと、佐藤の母からの電話により信用してもらえた。

そして夕食を食べて自室でくつろいでいると、妹が呼んだので部屋を出た。

妹は怖がりなため結界の作り方を教えてもらおうと思ったらしい。

結界の説明が終わると妹が「あと少しだったのにな」と低い声で言ってきた。その声と佐藤の家で聞いた「こんにちは」の声が一致したためおれは背筋がゾッとした。

しかし、こう1日に何度も出てこられるといくらか慣れもあった。もし本当に妹に先の霊が取り憑いているのなら男の霊で間違いないだろう。何か仕返しをしてやろう、、、と思いおれは一つ思いつきで言ってみた。

おれ「そのまま、そのままジッとしといてな。チューするから」と。妹にビンタされた。

おれは除霊ができたと歓喜した。その後寝る前に「寝取りに来てもいいよ」と紙に書いて枕の下に置いて寝た。朝まで何事もなく寝られた。

翌朝、学校で昨日あのあと何もなかったかと佐藤に尋ねた。

佐藤「犬は部屋の中で玄関に向けて吠えまくるし、それに起こされて下に降りたらテレビ点いてて砂嵐状態だったし、両親も兄も寝られないみたいで起きてきた。結局、みんなで朝まで起きてたよ」

おれはこうしたら安眠できたと佐藤に教えた。

佐藤「おお!まじか、そんだけで消えてくれるんなら次、同じやつ来たらやってみるわ」と言っていた。

「やっぱり佐藤はおれの友達だ」とおれは思った。

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