隙間って怖くないですか?何が出てくるかわからない何がいるのかもわからない。照明により家の中のほとんどは明るいのに隙間の中は真っ暗。外でも同じように日の光により辺は明るいのに隙間の中は真っ暗。今回はそんな隙間にまつわる怖い話です。
nextpage
場所はよくある喫茶店で起きました。体験したのはそこでバイトとして働いている大学生の女の子で仮にSさんとします。
nextpage
Sさんは主に週末に働いており時間帯は朝9時の開店から夕方の3時までの6時間でした。Sさんは高校生の時からそのお店で働いていたので、オーナーからの信頼も厚くお店の鍵を預かりお店を開けることがよくありました。
nextpage
その日も開店前に鍵を開けていつものようにお店の机を拭いたり床にモップをかけたりと清掃をしていました。机をきれいに拭いた後、モップをかけていた時のことあるところでモップが引っかかってしまいました。
nextpage
モップをそこから離そうとしましたが、とても強い引っかかり方をしているのか離せません。徐々にモップが床の中へ中へと引き摺り込まれていることに気づき慌ててモップから手を離しました。
nextpage
モップの毛の部分が全てなくなり、モップの姿が先についた金具と木の棒だけに変わったことで床がどうなっているのか見ることができました。四角く区切られた床のタイルの溝に沿った形であるかなしか程の隙間ができていました。
nextpage
Sさんがその隙間をジッと見つめていると、ズリズリズリと何かがゆっくりゆっくりと隙間から出てきました。
separator
真っ黒になった人間の指と思われるものが出てきたかと思えば一気に二の腕までズルズルと這い出てきました。「気持ち悪い」とSさんは思いお店から逃げ出そうと入り口に体を向けましたが動けませんでした。
nextpage
這い出てきた腕ではない方の腕がもう一つ出てきておりSさんの足を掴みました。Sさんは恐怖のあまり体が硬直して動けなくなっていました。するともう一方の腕が床に掌を置いて何度も何度も床を叩き始めました。
nextpage
Sさんはその様を見ていておかしなことに気づきました。下から人間の手が生えているのなら普通肩まで出ていなければ真下に位置する床を直角に押すことは不可能だからです。関節が肘ともう一つなければ無理なのです。
nextpage
その点に気づいたSさんは「あれは人間の腕ではない」と分かりました。Sさんは逃げ出したい一心で掴まれてない方の足で自分の足を掴んでいる腕を力いっぱい踏んづけました。腕はそれでも離さなかったのでSさんは近くにあるモップに手を伸ばし、モップの先の金具を腕に突き刺しました。
nextpage
腕は一瞬怯みSさんの足を離しました。その瞬間を逃さずSさんは店の外へ逃げ出しました。家に帰り掴まれた足を見るとアザになっていました。
nextpage
Sさんはそのお店で働くことをやめ、そのお店の近くにも寄らないようになったそうです。それ以来、隙間を見ると鳥肌が立つほど怖くなると言います。そしてなぜか蜘蛛を見ても同じような感覚になるそうです。
作者やみぼー