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短編1
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祭り

主人の転勤で東北にいたときの話。

娘が幼稚園に入る前の年の夏。

夕刻。夏の空はまだ高く明るかった。

いつものように買い物を終え、社宅へ戻る車中でのこと。坂を下っている時に娘が言った。

「おまつりだー。いっぱいひとがいるね。◯◯(娘の名前)もいくー」

娘が言った。

「はあ?」 

何台かの対向車が過ぎ行き、後続車もいる。だが、歩道には誰もいない。

「人ねぇ…」

いないんだけど…

そう思いながら、周りを見てハッとした。

ゆるい下り坂は、先でゆるいカーブになっている。そのカーブの向こう側に雛壇になったお墓があった。

引っ越してきてから何度となく通った道。でも私は今までここにお墓があるのは気がつかなかった。

殆どの墓に花がお供えしてあるのが見える。

でも人は誰もいない。

ちょうどお盆の時期だった。

「誰もいないよ」

私は言った。

「いっぱいいるよ。たのしいんだよ」

娘は笑っている。

私には視えない、その人たちを見つめる娘の瞳は輝いている。

これは視てはいけない人たちではないのだろう。

「そっかー。楽しそうなんだ。お家に帰れるから嬉しいんだね」

そう言いながら、ひと気のない墓場を横目に、私はゆるいカーブを曲がって家路を急いだ。

Concrete
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@あんみつ姫さま こんばんは。
私の出身は中国地方の田舎町で、高校を卒業後、東京の看護学校に行き、その後は関東で生活していました。
私が独身の頃勤めていた病院に入院した患者さん。
私と話すときは普通に日本語だったのに、見舞いにきた方と2人で喋っている言葉が理解不能で、でも名前は日本名。なんだか犯罪の匂いがした私は婦長に、
「あの人、外国語喋ってます。日本人じゃありません」
そう言ってしまいました。すると婦長は
「あれはね、東北弁よ」
と笑いながら言いました。実は婦長も東北の人で、言葉には訛りがありました。
初めて聞いた生粋の東北弁は私には外国語に聴こえてしまいました。失礼な話です。

その後結婚して夫の転勤で東北に行くことが決まったとき、言葉が通じなかったらどうしようかと、真剣に悩みました。
行ってみると、言葉はそれほど問題にはなりませんでした。
東北の方はとても優しくて温かい。駐車場で地図を広げていると、迷ったのかと話しかけてくださる方が多かったです。

5年ほど東北で暮らしましたが、転勤で関東に戻るときには、離れたくない。私たちはここに残るから単身赴任で行ってくれとさえ思いました。
子育て中であっという間の5年間でしたが、心に残る素晴らしい日々でした。
話の内容とは関係のないコメントになってしまいました。申し訳ありません。
あんみつ姫さま、今回も忙しい中お読みくださりありがとうございました。

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@天津堂さん こんばんは
子供は無邪気なぶん、目にみえないモノを語らせると怖いです。あまりに怖くて視えてるであろうモノを全否定したこともありましたが、今回のはあまり恐怖をかんじることはなかったです。
天津堂さん、いつも御読みくださり、また丁寧なコメント有難う御座います。とても励みになります。

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