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短編2
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父娘

夫の同僚の、小学生の子供さんが亡くなった。

交通事故だった。

子供を失う悲しみは想像を絶する地獄だろう。

事故死からしばらくして、その人は何か思うところがあったのか、その地域では有名な霊能者にみてもらったそうだ。

霊能者から死んだ子供がその人にまとわりついている。何で気づいてくれないのか、不思議がっている。そう言われたそうだ。

そのあと子供をどうしたか、浄霊したかどうか、夫は聞かなかった。というか、その人の心情を思えば、聞くことは出来なかった。

その人には奥様ともう1人、成人した子供がいたらしいが、家族で支え合って悲しみを乗り越えた…というようにはいかなかった。

その人は少しずつ活気がなくなっていった。そして仕事に来なくなり、家にも戻らず行方不明になった。

季節は冬。東北の冬は厳しい。

たぶん春になって雪が溶けたら見つかる。

子供に連れていかれたんだろう。

皆が噂した。

その地域には有名な霊山があり、冬になると閉鎖されて春まで入ることも降りることもできない。

やがて春になり、その人の車が霊山へと向かう山道で見つかった。

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人は死んだら魂は山に向かう。そして山からあの世に行くのだそうだ。

近所の人が教えてくれた。

死んだ子供に連れて行かれたのか、それとも自らついて行ったのか…。

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雪が溶け、大地から春が芽吹く山道を、父と娘が歩いている。

暖かな陽の光に包まれて、死者の道を行く二人。

道は、きっと極楽浄土へと続いてる。

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@かがり いずみさん、こんばんは。コメントありがとうございます。かがり いずみさんが投稿されたお話も素敵。よもつへぐい大好き。
御読みくださりありがとうございました。

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