時は西暦2520年。
舞台はオリンピックの競泳男子100メートル種目の決勝戦。
選手たちは皆、国の威信をかけ、金メダルを目指す強者ばかりだ。
レースは白熱した展開となったが、とある国の代表が17秒28の世界新記録を叩き出し、優勝をさらった。
しかし彼は、その後の優勝者インタビューに答えることなく、そそくさと控え室に戻ってしまう。
表彰式には姿を見せたが、表彰台の上でとても息苦しそうにしている。
プレゼンターに金メダルをかけてもらったが、首元のかけごこちが悪いのか、すぐにはずそうとする彼。
しかし、水かきのついた手ではなかなか上手くはずすことができず、慌てた彼は足ヒレのような巨大な素足でペタンペタンと表彰台を降りると、突然プールに飛び込んだ。
水面から顔を出した彼は、満面の笑みを浮かべながら、両耳の下にある大きなエラを気持ち良さそうにパクパクさせた。
作者とっつ
ホラーテラー時代にお題「オリンピック」で書いたものです。
とりあえず、自己評価の低い作品も含めて、全部投稿しています。
合間に新作も投稿していきます。
一年以上もブランクが開いたので、「お前、誰?」という方も多いと思いますが、あらためまして今後ともよろしくお願いいたします。
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