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中編3
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霊感体質

これはロビンがまだ可愛い小学生だった頃のお話です。

ロビンには仲の良い友達がたくさんいたのですが、その中でも5年の時にサッカーを通じて仲良くなった山田とは毎日のように遊ぶ、所謂、親友と呼べるような仲でした。

「探検いくぞ!探検!」

ある日突然、山田が秘密基地を作ってそこに住む!とかアホみたいな事をいいだしたので、2人で学校帰りに団地の裏山に凸しました。

「後悔するとこまで突っ走ろうぜ!」

山田がカッコいい事を言ったので、実はウルシが怖かったロビンも引くに引けなくなり、2人で獣道を掻き分けて山の奥へ奥へと進んでいきました。

すると突然、目の前に大きな沼が現れ、俺たちは足を止めました。

もうかれこれ山に凸してから20分くらいたっています、相当な奥地まで来ている事はお互いにわかっていました。

周りはしんとしていて虫や鳥の声も聞こえません。時間的に空を確認せずとも日暮れが近いことは確かです。

しかし、2人とも子供ながらに無駄なプライドを持っているため、相手が帰ろうと言うまでは帰ろうと言い出さない、目に見えない漢の戦い。ビビったら負けという、変な精神状態に陥っていたのです。

遠くで野犬の吠える声がしました。お互い、もう心の中では半ベソをかいています。

「ロビン、あれなんだ?」

山田が沼の向こうを指さしました。

でも、山田が言う前から沼の向こうに半分崩れ落ちた廃墟がある事にロビンも気付いていました。もっと言えば、それが教会である事も。

朽ち果てて崩れ落ちたであろう二階部分に十字架がついていたので、それがかつて、教会だったものだとすぐにわかったのです。

こんな周りを木々で囲まれた抜け道もないような山奥にある教会。

絶対に関わってはいけない案件だとロビンの脳は2秒で判断しました。

「ふう、わかったよロビン。俺の負けだ」

急に山田が負けを認めました。そんな山田の横顔は、真っ直ぐにあの崩れた教会をにらみつけています。

「なあ。あの十字架の上に、神父さんみたいなんがふわふわ浮いてるんだけど、あれロビンにも見えてるか?」

山田がぼそりとそんな凄い事を言った事まではおぼえています。

たぶん、ロビンが嫌いなウルシと野犬とオバケのスペシャルコンボが原因なんだと思います。

どこをどう走ってきたのか全く記憶にないのですが、気づいたら山を抜けでて、団地の前でひっくり返って泣いていました。

山田はそんなロビンを見て笑っています。山田は実は慣れっこだったようです。

今まで知らなかったのですが、山田は生まれながら?の霊感体質で、家族全員が日常から普通に幽霊と共存して暮らしているそうです。

山田のお姉ちゃんは、いつもベランダに座り込んでいる小さな女の子の霊と友達なんだそうです。でもたまに手すりの向こうにその子のお母さんらしき女の霊が現れた時は微熱が出るそうです。黒いビニール袋がくしゃくしゃってなったように現れて、黒いビニール袋がくしゃくしゃってなったように消えるそうです。

もの凄い形相で現れるのがちょっと怖いそうです。

神父さんに話を戻しますが、山田が言うにはその神父さんみたいなおじさんは、ずっと犬のような唸り声をあげていたそうです。

つまり、ロビンには神父さんの姿は見えませんでしたが、犬のようなその唸り声は聞こえていたという事になります。

もしかしたら、自分も霊感が開花してしまったのでは?と不安になり、しばらくは1人でトイレにも行けませんでしたが、どうやらこの時はまだ大丈夫だったようです。

お話は以上です。残念ですが実話です…ひ…

ご清聴ありがとうございました。

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