短編2
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年賀状

新年早々、一人の中学生が自殺した。

親戚一同が集まった2日の朝、いつまでも起きてこない彼を部屋に呼びに行った幼い従兄弟たちが凄惨な首吊り自殺の第一発見者となった。

遺書はなかったが、彼の両親は、自殺の原因は学校でのイジメではないかと疑った。

思い返せばこの数ヵ月間、ふとした瞬間に、思い詰めたような表情を垣間見せることがあったからだ。

しかし、それにしてはおかしな出来事があった。

彼が自殺する前日、つまり元旦に彼のもとにたくさんの年賀状が届いていたのだ。

枚数からして、おそらくクラス全員分はあった。担任の先生からも届いていた。

そんなに友達の多い息子が、学校でイジメを受けていたとは思えなかったからだ。

年賀状に書かれていた内容も『今年もよろしく』『部活頑張ろう』などと、ごくありふれたものばかりだった。

ただ、なぜか年賀状に使われたハガキが、切手が印刷済みの年賀ハガキではなく、全て一般的な官製ハガキだったことが不思議ではあったが…。

彼の葬儀も終わり、初七日を過ぎた頃、両親は喪中ハガキの準備を始めた。

その準備の最中、両親はある違和感を覚えた。

喪中ハガキには普通、喪中ハガキ専用の切手が使われる。

普段はあまり見かけることのないはずのその切手に、つい最近見覚えがあったからだ。

はっ、とする両親。

大急ぎで亡き我が子に届いた年賀状を確認した。

『これも…。これも…。先生からのも…。これ、全部そうじゃないか!』

そして両親は愛する我が子が、担任を含めたクラス全員からイジメを受けていたことを確信したのだった。

そう…、彼に届いた年賀状には全て、喪中ハガキ用の切手が貼られていたのである。

Concrete
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官製喪中はがきあります。。。
切手部分地味な印刷されて売ってます。

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こんなことされたら立ち直れない

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