以前、外出先で自宅にいる夫とFaceTimeで話していた時に、夫の周りをオーヴらしきものが飛んでいたことがあった。夫はそれを、埃か虫だと言った。けれど埃はあんな動きはしないし、虫ではないことは本人が一番よく知っているはずだった。(何故ならあの時自分の周りに虫が飛んでいなかったことを、確認していたはずだから)
私も帰宅後にiPadに自分を映して、周りにオーヴらしきモノが飛んでいるのを確認した。
オーヴを見たのが去年の話。
今年になって、その時の話題がでた時だった。
夜の10時を過ぎた頃、私は
「またオーヴ見えるかな?」
とiPadに自分を映すと、オーヴを探して二階から部屋を回って行った。
iPadの画面にオーブは中々現れなかった。
一階に降りた私は、皆がいるリビングの隣の和室に、電気をつけない状態で入った。
和室はシャッターを閉めていたので暗かったが、開かれた襖から、リビングの明かりが入り込んでいたため、真っ暗闇ではなかった。
私は部屋の角をぐるっと周ったあと、和室の暗がりに背を向け皆のいるリビングに向き直った。
iPadの画面に映る自分とその背後の暗がりにじっと目を凝らす。
オーヴは現れなかった。
今日は無理かなと思った時だった。
背後の暗闇が動いている気がした。
私は画面に釘づけになった。
iPadに映る私の右肩あたりの闇が蠢いている。
動きながら少しずつ見えてくる。
人の眼。眼と鼻…顔の輪郭。
暗闇の中で少しずつ形成されていく、それは女の顔だった。
「うぎゃあー!」
唇がハッキリと形作られる前に、私は和室から皆のいるリビングに移動した。
「出た!今、女の顔」
私は家族に今みたものを説明した。
子供たちは私の興奮をしらけた表情で受け流した。
「ほんまじゃけん! 来てみんさいや」
私の金切り声に応じたのは夫だけだった。
私はiPad片手に夫と和室に入り、共に画面を見つめた。
しばらくすると、先程のように暗闇の中、女の顔が浮かび上がってきた。
正直、もう見たくなかった。
「本当だ。見えてきた…」
夫の言葉に私はiPadを閉じた。
「もうええよ」
リビングで、
「私が言ったこと、本当だったじゃろ」
私が言うと、夫は
「うん、でも顔がハッキリする前にiPad閉じたから、全部みれなかったよ」
そう言った。
子供たちは興味なさそうに、携帯を弄り続けていた。
後で娘がボソリと言った。
「前から言ってたじゃん。そこ、女の人がいるって」
私はハッとして娘を見つめた。娘は変わらず携帯を弄ったままだった。
娘は小さい頃、よく階段に女の人がいると話していた。霊能者に来てもらってからそれは言わなくなったけど、時々、和室に女の人がいるというようなこと言ってた。
それから、息子も同じこと言ってたことを思い出した。
同じ女かどうかはわからないが、本当に嫌だ。
嫌だ。そう思いながらその日も私は、その和室に布団をひいて寝た。
そんな気持ちの悪い部屋で、普通に寝れる自分はおかしいんじゃないかと、そう思いながら寝た。
作者國丸
実話です。その時は物凄く怖かったけど、怖かったのはその時だけだったみたいで、文章にしても恐怖を伝えることできそうにないです。すみません。
よく恐怖映像で、室内を撮影していて、一瞬何か映って、そこにもう一度カメラを向けると、もう何もない。っていうのあるけど、我が家のは徐々に現れた。
まあ、こういうこともあるんだな。という軽い気持ちで流して頂けるとありがたいです。でも正直、祓える人を知っていたら教えてほしい。
我が家は色んな怪異がおこります。一度、霊能者に視てもらったことあるけど、解決できなかった。