子供の頃。小学校3年生くらいの記憶。
自室のベッドに寝ていて、朝に太陽の光が入ってきた。その光に照らされて、影がゴソゴソ部屋の隅で動いている。
自室には自分だけ…影の本体は死角で見えない。影のみが動いている。
想像したのは日本人形。別室の和室にある日本人形。顔が怖いので正面を壁に向けてもらっていた日本人形。大きさもそれくらい。
怖くて怖くて、母が自室に来るまで動けなかった。影は母が来たら消えた。
そんな昔の記憶。
その日本人形が関係しているかもわからない。今その日本人形がどうなっているかもわからない。
最近、なぜかそのことが気になって母に聞いた。
我が家に日本人形があったことは無いと言われた。
作者植田良平