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短編2
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座敷のわらし

縁起物として語られる。

座敷童。ざしきわらし。

一部観光地にもなっているような場所も存在する。

声が聞こえる、影が見える、気配がする、悪戯される、沢山の体験談が存在する。

座敷童という存在を知らない人は少ないと思う。

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少し前、まだ例の流行り病が大袈裟なことになっていなかった頃。

「この宿には座敷童が出るんですよ」

唐突に宿泊先の従業員にそう言われた。

そのような話は宿の下調べでは出てこなかった。

「座敷童?あの?幸運の?」

少し間抜けな返しだったと思う。いきなりそのような話をされた時の上手い返しを誰か教えて欲しい。

どうやら、そこまで有名ではないらしいものの、その宿では度々座敷童の目撃例が多発しているらしい。正直戸惑った。

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ソレを目的で来た客ならまだしも、いきなり言われたら怖い。…怖い。

「お連れ様はどちらに?」

…間違われた。俺は一人だ。

予約は一人と伝える。悪かったな独りで。

そこは上手く笑い話にして、従業員から出されたお茶をすする。

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宿自体は悪くなかった。いや、かなり良かった。料理は美味しかったし、温泉も最高だった。「座敷童」なんかで名を売る必要が無かったのだろう。

夕食後、酒を飲みながらテレビを見る。チャンネルの種類が違う。旅行特有の非日常感が心地よい。

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ガサガサ

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猫?それくらいの大きさのモノが目の端に感じられた。音は…した。

チェックイン時の会話が思い出される。

「座敷童」

やはり、いきなりは怖い。自分に言い聞かせる。「座敷童はいいやつ」「座敷童はいいやつ」我ながら情けない。

あれ?動けない。うしろ…いる?

冷たい汗が流れる

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ざしき、わらし

ざしきの、わらし

おざしき、わらし

わしは

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聞き取れない。何か言っているが、あまり聞き取れない。聞きたく無い。意識が遠のく。

気づいた時には朝だった。

しっかり布団をかぶり、行儀良く寝ていた。テレビはつけっぱなしだった。

…夢にしては…リアルな感覚だ。

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朝、チェックアウトの時に昨日の従業員に昨夜の出来事を話した。

「座敷童に出会えたのですね」と言われた。「いや…」と言葉を返そうとすると、

「あれは座敷童ですよ」

と言われた。目だけ笑ってなかった。ような気がする。これ以上この話はできないと思ったので、素直にチェックアウトする。

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年老いた女性の声、少し笑っていた。

別にそういうモノに詳しいわけではない。

が、断言できる。

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アレは「座敷童」ではない。

Concrete
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