【重要なお知らせ】「怖話」サービス終了のご案内

短編2
  • 表示切替
  • 使い方

憑かれる

その日、学校から帰宅した娘の様子が変だった。

「お母さん、お風呂洗ってないなら洗うよ」

「ポテトサラダ味付けするね」

「お母さん、夕飯の片付けやるよ」

こんな言葉が娘の口からこぼれでる。

それを見た夫が、

「何かあったのか? いつもと違う。もの凄くいい子じゃないか」

まるで憑物が落ちたみたいだと不思議そうに言った。

当時、高校生だった娘は周りに壁をつくり、口からこぼれる言葉は反抗的なものが多かった。

だからこの日の素直な娘は、異様に見えた。

「学校でいいことあったんじゃない」

「このまま落ち着いてくれるといいね」

などと、夫と話した。

separator

最近 娘は2階の自室で寝たり、1階の和室で私と一緒に寝たりしている。この日、娘は私と一緒に寝ていた。

深夜 ふと目が覚めた。やっぱり何か変なのだ。

隣で眠る娘に変化はない。

私はもやもやする気持ちを持て余しながら、やがてうつらうつらし始めた。

しばらくして、娘が呻き声をあげた。

「どうしたん?」

聞いても娘は声を出すことができないようだった。

私はああ何か来てるなと思った。

どうしよう…。

これが自分の身に起こっていることなら、全力で抵抗するけれど、今はどうすればいいのかわからない。

よくテレビ番組の心霊特集で、霊に憑かれた人に霊能者が背中を叩いて気合いをいれているのを思い出した私は、

「〇〇(娘の名前)、こういうことはね、気合いが大事なんだよ!」

そう言って、娘の背中をバンと叩いた。

娘はグッと声を漏らして倒れ込んだ。

しばらくして、お母さんありがとうと言った。

娘曰く、学校から帰ってからずっと変な感じがしていて、さっきは別な何かが自分の中に入ってきたとのことだった。でも私に背中を叩かれて抜けていったらしい。

でも素人がこんな適当なことして大丈夫なのかな?

不安になった私は、静かになった娘に話しかけた。

「ねぇ 本当に大丈夫なの?」

r……」

娘は応えない。

「寝た?」

再度 話しかけると

「…大丈夫だから…そっとしておいて」

やんわりと拒絶されてしまった。

多分 大丈夫じゃない。でも今は何もしない方がいいと判断した私は、朝を待って霊能者に相談することにした。

娘の写真を携帯で撮って、霊能者に送信して視てもらった。

娘には同じ年頃の女の子が憑いているとのことだった。

取り敢えず応急処置として、塩入りの風呂に入るよう言われた。

早速 塩入りの風呂で身を清めてみたが、あまり効果はなかった。

その後、霊能者に来てもらって浄霊してもらった。憑いてた女の子は娘に執着しているわけではないので、心配いらないとのことだった。

Concrete
コメント怖い
8
10
  • コメント
  • 作者の作品
  • タグ

@あんみつ姫さま こんにちは。
娘が憑依体質なのかどうかはよくわかりません。
でも霊感は人より強いのかもしれません。
でも、霊感があって何かをみたり感じたりできるより、それらを寄せつけない力がある方がいいなあと思います。
あんみつ姫さま、コメントありがとうございました。

返信
表示
ネタバレ注意
返信
表示
ネタバレ注意
返信
表示
ネタバレ注意
返信

@鏡水花さま こんにちは。
娘は霊感があるんだかないんだか、色々あって、私が娘だったら何回か心臓止まってるなあって思っています。
でも…多分、娘は思ってる。
この世ならざるモノよりも、生きて実害を及ぼすヒトのほうが何倍も怖いって‼︎
鏡水花さま、御読みくださりありがとうございました。

返信

@あんみつ姫さま こんにちは。
母は強し…そうですよね。普通は…。でも私、ダメですね。いつもそうですけど、驚くことがあると思考が止まっちゃう。その間にいろんなことが終わってしまってる。 
ダメな母親ですが反面教師で、子供たちが私から何か学んでくれるといいなと願う毎日です。
でも、あんみつ姫さまの心強いお言葉を胸にがんばります。
あんみつ姫さま、御読みくださりありがとうございました。

返信
表示
ネタバレ注意
返信
表示
ネタバレ注意
返信