wallpaper:3734
私が、大学を卒業した頃だったでしょうか?卒論やら、なんやら忙しくて、
久しぶりに、地元に帰省しました。
相変わらずの景色もありますし、
こんなビルあったっけ?などと、時代の流れめ感じました。
separator
実家に着き、しかし何もする事も無く、
ぼんやりしていると、
幼なじみのユカを、急に思い出しました。
「 ねぇ、おかん、
昔、仲良かったユカって、まだ、S町に
住んどるの?」
「 何や、急に。
ユカちゃん家は、あんたがユカちゃんと
遊ばんようになってからは、
あんまり知らんわ 」
そりゃそうだ。と、思いつつも、
私の僅かなる連絡先を辿り、ようやくユカに繋がりました。
「 えっ? Kちゃん?久しぶりー!
よく連絡先が分かったねー 」
電話でも何だし、ユカも、そう遠くない所に住んでて、久しぶりに会おうよ!と言う話になりました。
当日、私はちょっと緊張してました。
だって、中学生以来、会うのですから。
separator
駅で待ち合わせして、しばらくすると、
昔の面影が、すこーし残ったユカが来ました。
「 Kちゃん?? 久しぶりー!」
昔と変わらない、ユカでした。
ユカは、結婚していて、
お母さんになっていました。
その後、近くの居酒屋へ行きました。
二人で、昔のバカ話をして、大笑いして、
楽しい時間が過ぎて行きました。
すると、ユカが、
「 ねぇ、Kちゃん?
私のおかんって、看護師しとるやろ?」
と、言い出しました。
「 うん、知っとるよ。
それがどうしたん?」
「 何か、色んな話をしとったわー 」
「 え?どんな話?」
ユカは、かるく酔っ払いながら話し始めました。
separator
ユカのお母さんが、まだ、
正看で働き始めたての頃、
初めてのラウンドに出たそうです。
勿論、先輩ナースも一緒に。
すると、向こうからお婆さんが来たそうです。いくら働き初めでも、顔と名前は、
何となく分かります。
( あれ、、、? この人、
○○さんのお婆ちゃんじゃ、、、?
トイレ、、、とか、、、? )
すれ違い様、お婆さんは会釈をし、
ユカのお母さんと、先輩ナースは歩き続けていました。
すると、先輩ナースが耳元で、
( 振り返っちゃダメよ。
あの人、3日前に亡くなったの )
ユカのお母さんは、怖くてたまらなかったそうです。
本気で、看護師を辞めようと思った程だったらしいです。
「 それが、今じゃさぁー! 笑!」
と、笑いながら、ユカが言うので、
何?と聞くと、
「 この前、夜勤の時に、
ナースコールが鳴ったんやって。
で、同じ夜勤だった看護師が言うんやと。
「 Uさん ( ユカのお母さん ) 、
ナースコールが鳴ってるんですけど」
って。
で、おかんが
「 どの部屋?見に行ってくるけど 」
そしたら、その看護師が言うたんやって。
「それが、、、
誰も居ない部屋からなんです、、、」
で、うちのおかんは、気にせんで良いよって
その看護師に言うたらしいけど、
その部屋からのナースが、止まらんかったら
しくて。
うちのおかん、どうしたと思う?」
急にユカが聞いてくるから、私は、
「 え?どうしたん?」
としか、聞き返せませんでした。
すると、ユカは大笑いして、
「 おかんね、その部屋行ったんやって。
そんで、ドア開けた瞬間に、
「 さっきから、うるさいわ!
こっちは、仕事で忙しいんや!
邪魔せんといてくれる!?
分かったか!!」
って怒鳴りつけたらしいんや。
そしたら、それっきり、
ナースコールは鳴らなくなったみたいで。
おかん、強いやろー?
アハハハ、、、!!」
( うん、確かに強い。
イヤな不可思議なヤツには、強気で行くのが
良いんだなぁ)
私は、勉強になりました。
separator
その後、何となくお開きになり、
ユカには旦那さんが、お迎えに来てました。
遠目で手を振り、私は実家へ帰りました。
何だか、ユカと会った事が後悔に感じたり、
でも、貴重な話も聞かせてもらえたし、、、
などと、帰り道、考えていました。
separator
その後、ユカとは会っていません。
特に、ユカからも連絡も無いので。
私も大学に戻りましたし。
ユカの話した事は、本当にあった事なのかは分かりません。
私を怖がらす為に、作り話をしたのかも。
そんな様な怖い話を、
昔、聞いた事あるかもなぁ、とも思いました。
ただ、最後にユカが、
「 うちのおかんね、” 鬼の師長 ” って
呼ばれてるらしいよ、笑えるよねー!」
と言っていました。
もしかしたら、病院と言う、
人の生死が行き来する場所では、そこまで
精神的に強くなければならないのかもなぁ、と、
ふと思いました。
作者退会会員
今回も長文すみません。
ウソなのか、本当なのか、
読んで下さった方の、取り方次第なお話です。