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私が大学時代に、
ある先輩から聞いた話です。
彼女はもう結婚していて、
3人の子供のお母さんなのですが、
大学時代には、
とても可愛がってもらいました。
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ある日、いつもの溜まり場で、
2人で下らない話をしていたら、
何となく、その先輩が言いました。
「 Kってさ、( 私の事です )
Fさんの事知ってるよね?」
Fさんとは、私達の大学のOBで、
今は、劇団で活躍されている方です。
ちょっと、、、
いや、かなり、個性的な方なのですが。
「 あ、知ってますよ、
この前、〇〇先輩と、Fさんの家に
遊びに行ったんですけど、
Fさんらしい、凄い家ですね ( 苦笑 )」
「 それがさ、
昔、Fさんが大学生だった時に、
色々あったらしくてねー 」
色々、、、? 男女関係、、、?
などと、私が思ってると、
「 話、聞きたい?」
と、嬉しそうな、
だけれども、怖そうな感じの面持ちで言うので、
私も聞きたかったですし、
話を聞く事になりました。
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「 Kも分かってると思うけど、
Fさんって、あんな感じの人じゃん?
だから、
ある日さ、ゴミ捨て場から、
使い古したミッキーマウスのぬいぐるみを、
拾って来たんだってさ。
で、デ室 ( デザイン室の事です ) の、
黒板の左側に、飾っといたらしいんだよね 」
私が、相槌を打ちながら話を聞いていると、
「 それでさ、
そのぬいぐるみを置いてから、
しばらく経ってね、
デザインの授業があって、
デザインの授業は、デ室でするでしょ?
そのうちに、授業で、
みんながデ室に集まってきて、、、
そしたら、
急に、ある人が言い出したらしいんだよね、
” なんか、右足の付け根が痛い ”
って。
周りは、どうしたん?って、
感じだったらしいけど、
段々と、その人が泣き出して、
” 右足の付け根が、
痛い 、、、痛い 、、、” って。
でもさ、
周りの人も、言い出したんだって、
” 私も痛い ” とか ” オレも痛い ” って。
ほとんど同時に、みんな言い出したから、
絶対、連鎖反応とかじゃないって。
そしたらさ、
そこに、M嬢が来たんだよね 」
私も、Mさんに会った事はありますが、
Mさんも大学のOGです。
何故、M嬢と呼ばれているかと言うと、
かなりの霊感の持ち主だからだそうです。
「 でさ、
M嬢がデ室に入った途端に、
指さしたんだって。
” あんなとこに、
あの、ぬいぐるみ置いたの、誰? ” って」
当時その場に、学生だったFさんも居て、
” オレだけど、、、何? ”
って言うと、
M嬢は、そのぬいぐるみに向かって歩き出して、
そのぬいぐるみを掴んで、
皆に言ったらしいんだよね。
” この子、
右足の付け根が、逆側に縫い付けられてる。
後から縫われた感じだけど ”
( つまり、踵が前で、つま先が後ろ、と言う事です )
そう言ってさ、
Fさんにぬいぐるみを押し付けて、
” あんたが拾って来たんだから、
あんたが処理しなさい ”
って言って、帰っちゃったんだって 」
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「 え、、、?
そのミッキーマウスの右足?が、
逆に縫い付けられてたんですか?
気味悪いんですけど。
その、ぬいぐるみのせいで、
皆の足が、痛くなっちゃったんですか!?」
私は半信半疑でしたが、
実際にその場に居て、足が痛くなったOGの方から、
先輩が話を聞いたそうで。
「 で、Fさんは、その後どうしたんですか?」
と、何故か焦って、私が聞くと、
「 近くのA神社に、持って行ったんだって。
その後は、特に何も、
起こらなかったらしいけどね。
ねぇ、Kさ、
こんな事が本当にあったなんて、怖くない?」
と、先輩に聞かれました。
私は、
「 えっ、怖いですよ、そんな話、、、。
普通に考えて、
ゴミ捨て場のぬいぐるみなんか、
拾って来ないですし、、、。
やっぱり、Fさんって、変わってますね。
M嬢さんが来てくれたから、
良かったですけど、、、。
でも、、、ほんとに、
そんな事って、あったんですかねー?」
と、私が、気味悪い雰囲気を打ち消すかのように、
半分、茶化しながら先輩に言うと、
先輩は、少し戸惑う顔で言いました。
「 どうしようかな、、、
K、ごめんね。
ちゃんと話すとね、
この話は、
実は、M嬢から直接、聞いたんだよね。
何だか、
あんまり怖がらせるのも、って思って、
ちょっとウソついちゃったんだけど。
M嬢はさ、 デ室に入る前から、
右足に、強烈な痛みを感じてたんだって。
それでね、デ室に入った瞬間に、
” あぁ、
このぬいぐるみが、原因だったんだな ”
って、思ったらしくてね、
でもさ、
ずっと声が聞こえてたらしいよ。
そのぬいぐるみを掴んだ時に、
更に、大きな声で聞こえたらしくて、、、」
「 え? 何の声ですか!? 」
私が聞くと、先輩は言いました。
「 ” 痛いよぉ、、、痛いぃ、、、” って 」
私は、
その瞬間に、ゾクッとしました。
私も色々と、不可思議な体験をしてますが、
何だか生々しくて。
「 えっ!? ほんとに、、、!? 」
私が、理解不能な状態で聞き返すと、
先輩が、真面目な面持ちで、
「 うん、、、
私もさ、最初、M嬢の冗談かと思ったんだけどさ、
あのM嬢が真剣に話すから、
ウソじゃないのかなって、、、」
「 じゃあ、、、
本当なのかも、知れないですね、、、」
と、私は答えました。
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と、まぁ、そんな話をしていましたが、
段々と不気味な雰囲気も消え、
また、2人でバカ話に戻っていました。
しかし、
以前、Fさんの家にお邪魔した時に、
何処からか拾ってきたらしき物が、
山のように、
所狭しと飾られて?置いてあったのを思い出し、
簡単な言葉で申し訳ありませんが、
( あ〜ぁ、、、) と、心の中で思いました。
作者退会会員
またまた長文をすみません。
大学が関東だったので、かるく標準語です。