高校の時、警察署の人を呼んで自転車の法律が云々の講話が体育館で開かれた。
途中ビデオを見る事になり、前のステージにスクリーンが貼られて照明が消された。
しばらく映し出された交通安全のドラマを観ていると、何かステージの上の方で動くものがある事に気づいた。
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ステージには左右に大きなワインレッドのカーテンがまとめてあって、さらに上辺にはレールを隠すため?の丈の短いカーテンが下がっているのだが、それの右の方から何か丸い物がゆっくりと逆さまに出てきた。
どうやら顔のようだが、暗いので表情までは見えない。
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一瞬幽霊だと思ってぎょっとしたが、ステージの上の方にある作業用の足場か何かから覗いてる人とかだろうと思う事にし、それよりも後で書かされる感想文のネタ探しに集中するためビデオに意識を戻した。
そしてビデオが終わり、体育館の照明が点けられた。室内が徐々に明るくなっていくうちに、だんだんその顔がよく見えてきた。
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その逆さまの坊主頭の顔は明らかにこっちを凝視していた。
意識をそれに向けてはいけない気がして、とっさに目を逸らして周りを見てみたが、どうやら周りの人は誰もそれに気付いてない様子だった。
その後しばらくすると、それはカーテンの裏にゆっくり戻っていくのが見え、二度と出てくる事はなかった。
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なお後で気づいた事だが、ステージ上方の側面には小部屋の窓があるものの例のカーテンの裏には人がぶら下がれるようなものは何もなかった。
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あの体育館で生徒が亡くなったとかいう話は聞いた事ないが、結局何だったのかは謎である。
作者༻ 𝓜𝓲𝓼𝓪𝓰𝓲 ༺