10月17日
しとしと
しとしと
雨が降っている。
天気予報で秋雨前線がどうのいっていたなぁ。
今、傘はないので、僕は全身びしょ濡れである。
全く、これじゃあ家のなかの物まで濡れてしまうじゃないか。
10月18日
しとしと
しとしと
まだ雨が降っている。
洗濯物が乾かない。
天気予報はつかの間の晴れ間だとか言ってたのになぁ。
10月19日
しとしと
しとしと
びしょ濡れで会社に行ったら、部長に怒られた。
同僚にも迷惑がられた。
まあ、しょうがないか。
10月20日
しとしと
しとしと
今日は有給を取った。
というより、部長に取らされた。
どうしてかはわからない。
「まあ、家で一週間ぐらいゆっくりしてろ」
だそうだ。
10月21日
しとしと
しとしと
天気予報ではしばらく晴れるって言ってたのに、まだ雨だ。
有給2日目。
日々休みたいなぁ、と思っていても、いざ休むとなるとやることがない。
ふらっとコンビニに行くと小さな女の子とその母親とすれ違った。
女の子が僕を指差しながら何かを母親に聞いている。
母親は
「やめなさい!あんなもの見るもんじゃありません‼」
と言って女の子に手で目隠しをした。
まあ、真っ昼間から若い男がうろついてたらそうもなるわな。
ただ、目隠しはちょっとやりすぎじゃないかなぁ、と苦笑した。
10月22日
しとしと
しとしと
有給3日目。
今日は久々に学生時代の友達と会った。
雨が降り続いているんだよね、と世間話ついでに言ったら、神社を紹介された。
「いいから行けって‼今すぐにでもこういうのは早いほうがいいんだぞ⁉」
と、会って数分なのに帰ってしまった。
薄情なやつだなあ。
そして何で僕が神社に行かなきゃならないんだ。
でも、あいつ、昔から勘だけは良かったからなぁ。
16日にあそこへ行ったの、気づいたのかなぁ。
じゃあ、念のため行っとくか。
10月23日
しとしと
しとしと
有給4日目。
相も変わらず雨続きだ。
降る雨が、赤みがかっているのに気づいた。
ちょっとヤバイかも知れない。
気は進まないが、あいつが紹介してくれた神社に行くことにした。
家からあまり遠くないらしい。
神社につくと、何も言ってないのに
「…お祓いですね…」
と、気まずそうに言われた。
何が何だかわからない内によく分からない儀式みたいなことをされた。
「もしかして、最近、心霊スポットみたいなことをされましたか?」
そう聞かれて、やっぱり行っちゃダメだったかなぁ、と思いながら「はい」と答えた。
「あなたには俗に悪霊と呼ばれるモノが憑いていました。
ですが、お祓いをしましたのでもう大丈夫です。」
最初とはうってかわって笑顔になった神社の人にそういわれた。
神社を出ると、久々に晴れていた。
外でも、車の中でも、家のなかでも濡れないというのは改めてありがたいなぁと思った。
10月24日
今日は家の外も中も晴れていた。
おかげで久しぶりにたまっていた洗濯物を干すことが出来る。
改めてみると、ずっと降り続いた雨によって、家中のモノがカビていた。
この調子だと、きっと床下も腐っていそうだ。
あーあ、大家さんに怒られるなぁ。
10月25日
しとしと
しとしと
一昨日お祓いしてもらったはずなのになぁ
外は晴れてるらしいのに、家の中だけ雨模様。
これじゃあ元の木阿弥じゃないか。
むしろ雨も、赤みがかっているのが増してきて、まるで血が降っているようだ。
部屋のなかに赤い女もいるし。
どこから入って来たんだろう。
10月26日
しとしと
しとしと
雨は本格的に血になったようだ。
女が覆い被さってきて重い。
有給が切れてしまう。
そろそろ会社に行かなければ。
10月27日
しとしとしと
しとしとしと
シとしトシト
死と死ト死ト
死ト死と死ト
作者退会会員
こんにちは、こんばんは。にゃんころべえの4作品目を読んで下さり、有難うございます。
かなり長くなってしまいましたが、お付き合い頂けると嬉しいです。
駄文失礼致しました。