短編2
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満月

今宵は満月だ。

ポッカリと美しい月が浮かんでいる。

私は今、仕事帰り。渋谷を歩いている。

仮装をした若者たちが多いと思ったら、今日はハロウィンだったことを思い出した。

それにしても、ハロウィンは西洋の収穫祭だろう。

化け物に気づかれないようにするのが仮装の目的だろう。

何故、アニメやら何やらのキャラクターになりきる必要がある。

ただのコスプレ祭りではないか。

そんな中を普通のスーツ姿で歩く私が珍しいのか、若者たちは私を見てヒソヒソと何か囁き合っている。

はぁ。全く、イマドキの若者共は。

襲いかかりたくなってしまうじゃないか。

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満月が雲に隠れる。

私は目が覚めた。

人の多い渋谷で、なぜ私の周り半径数メートル、人がいないのか。

何故コスプレした若者共がこちらを遠巻きにザワザワしているのか。

ふと足元を見ると、真っ赤な血で染まっていた。

所々見える塊は、肉片だろうか。それとも内臓だろうか。

美味しいところは知らないうちに食べ尽くしてしまったのか。

もったいないことをした。

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満月にかかっている雲が流れ、再びその美しい姿を現した。

段々と人間の理性がとっぱらわれ、体が毛深くなっていく。

私のは仮装でも、コスプレなんかでもない。

ただ、本能に忠実に動く狼男だ。

美味しそうな人間から、手当たり次第、自慢の牙と爪で血祭りにあげていく。

遠くから、パトカーのサイレンが聞こえる。

自ら餌になろうと向かってきているのか。

それなら心配しなくてもいい。

獲物はまだたくさんいるのだから。

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