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これはわたしが中学三年生の頃のお話です。
この時幼なじみの女子と別れてわたしはコンビニに行ってハッシュポテトを2つ買って帰りました。
これはその帰り道に起きた恐ろしい話です。
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コンビニで買い物を済ませさあて家に帰ろうとしましたがこの日は残念ながらいつもの道が工事だったので別の道で帰るしかありません。
しかもその道はわたしが忌み嫌っていた道でした。
その道のすぐ隣に室町時代の遺跡があります。
この遺跡は昔、とある武士が親戚に無実の罪を着せられ、追い詰められ最終的には自害して果てた場所だし、その道家臣たちもこの場所で後を追ったそうです。
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この出来事を知る以前からわたしはこの付近が嫌いでした。
夜に近くを通りかかったときに遺跡の中に赤い人魂?が彷徨いていたのを見かけてからずっと嫌っていました。
しかもこの時の時刻は午後5時から6時。丑三つ時に次いで幽霊の類が出やすい時間帯です。
正直気は進まないのですが此処を通らない限りかなりの遠周りをする事になり家族にも心配をかける為通るしかなかったのです。
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最初は気にならなかったのですが段々遺跡に近づいてくるにつれて激しい動悸と寒気を感じました。
まるで本能的に遺跡に近づくのを体が拒んでいるようでした。
そしてあと遺跡まで数十メートル程に近づいたときです。
遺跡の中に誰かが佇んでいました。
後ろ姿なので確かなことは分かりませんが、浅葱色の着物に袴を着た男性でした。
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今の時代ならあり得ない格好です。
怖くて怖くて心臓が飛び出そうでした。
そして数秒後遺跡の方を見ると男性は居なくなっていました。
こんなたった数秒で移動出来るわけがない…。
ああまたこの世ならざる者を見てしまったかと。
そしてとうとう遺跡の前に来たときです。
あの男性がまた後ろを向いて立っていました。
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良かった…。気づいていない。わたしはそう安堵し遺跡を自転車で過ぎようとしたときです。
何故だが遺跡が気になってみてみると
後ろを向いていたはずの男性が
shake
正面を向いてわたしのことを見ていたのです…。
しかも男性の家臣らしき白装束に袴姿の男性数名もわたしのことをじっと見ていたのです。
もうこのときの恐怖と言ったら言い表せない程でした。
「南無阿弥陀仏…南無阿弥陀仏」
わたしは心の中で必死にお経を唱えました。気が付けばあの男性達は消えていて、ただ何故か涙が出てくるのです。
凄く悔しい、悲しい、なんで自分が…。
そんな思いが何故か沸々と湧いてくきました。
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そして家に帰った後は塩でお清めをして親に事情を話しました。
両親が
「まああそこは昔色々あった場所だから出てもおかしくないね。」
と言っていました。
それから父に
「今度からは遠周りになっても良いからあの道は通るなよ。」
と忠告されました。
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あの男性達はわたしに何を伝えたかったのでしょうか?
あの時感じた悲しみはあの男性の最期の思いだったのでしょうか?
それからというものわたしはあの道を一度も通っていません。
作者NAZUNA