【重要なお知らせ】「怖話」サービス終了のご案内

中編3
  • 表示切替
  • 使い方

修学旅行

これは私が高校生の頃、修学旅行で広島・長崎に行った時の話。

3泊4日の旅行だったのだが2日目の夜には大いに盛り上がった。

部屋に友人や女子と複数人で集まり、怪談大会を開催したのだ。

みんな体験談や聞いた話など持てる限りの怖い話をし、リアクションに一喜一憂してハシャいでいた。

夜も更け、夜中の3時位だっただろうか。

窓の外で人が動いたような気配がした。

もちろん窓の外なんかには人はいない。

何より宿泊していたホテルは崖の斜面のような造りになっているので、窓の外に人が立てる訳がないのだ。

最初は気のせいかなと思っていたが、何度も目に入ってきて、やはり気のせいでは無いと分かった。

その人影はどうやら部屋の中を覗っているように感じた。

しかし周りのみんなは気づいていない。

私は気味が悪くなり窓の外を見るのを止めた。

視界に入るのも嫌だったので、座っている位置をトイレに行くふりをして変えた。

変えた際にふと部屋の中を見回すと、変化に気づいた。

みんなが背を向けていた方向にある押入れが少し開いていたのだ。

最初は気のせいかと思い無視し、しばらくしてもう一度見るとしっかりと閉まっていた。

「なんだ。気のせいか」

と思いまた話に加わっていた。

それから2~3分くらいだろうか。

ふとした瞬間に押入れに目をやると、また少し開いていた。

それにはギョッとしたが、さらに驚いた。

その押し入れの中に人影があったのだ。

私は直感的に窓の外にいた何かが入り込んできていると思った。

このまま怪談を続けたら良くないことが起こるんじゃないかと思い、夜も遅いしなど適当な理由をつけて、この集まりを終わらせた。

少しでも寝ようと準備をし、私は押入れ側は嫌だったので窓側で寝ることにした。

怖くて寝られないとも思っていたが、なんだかんだ寝ることができたようだ。

朝、少しの肌寒さで目が覚めると、友人が私をのぞき込んでいた。

「何でここで寝てるの?」

と言われ、最初は意味が分からなかった。

しかし状況を理解すると驚いた。

私は押入れに一番近い場所で寝ていたのだ。

しかも押入れは半分ほど空いていて、そこに右腕を突っ込んだ状況で。

そこで私は夜中に何があったのかを部屋にいた友人に話した。

すると友人は全く信じてくれなかった。

まぁ実際に見ていなかったら信じられない気持ちもわかるので、笑い話にしていた。

だが右腕に少しの痛みが走り、目を向けると手首にハッキリと手形が付いていた。

これにはさすがに驚いて、

「おい!ちょっとこれ見てくれ!!」

と友人に言い右手首を見てもらった。

すると友人たちは

「信じてもらえないからって必死すぎwww。自分で手形までつけるなよwww」

と馬鹿にしてきた。

「いやいやいや。ちゃんと見てくれ!!この手形は右手だぞ。どうやって自分の右手首に右手の跡をつけるんだよ」

と私が必死に言うと、馬鹿にしてきた友人たちは一様に黙り青い顔をしていた。

怖いがこんな話先生に言っても信じてもらえないし、怒られるだけなので押入れに近寄らないで集合時間まで過ごすことになり、

集合時間になると我先にと部屋を飛び出したのは言うまでもない。

Concrete
コメント怖い
1
8
  • コメント
  • 作者の作品
  • タグ