『すると鏡には…口紅で【エイズの世界へようこそ。】って書いてあったんだって!』
『うわぁ、エグいな。こっわ。。』
友人と都市伝説で盛り上がっていたK君は、エイズ・メアリーの話で震え上がった。
それもそのはず、最近彼は出会い系サイトで知り合った女の子経由で性病にかかり、苦しんだばかりだった。
男性にとってみればこの手の話はとても怖い。(男性諸君ならわかると思うが)
案の定、帰宅した後、彼女にこの話をしたところ、ふーんとしかならなかった。
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疲れていたせいか夕方頃、ふと寝てしまったK君はこんな夢を見た。
そこは暗めのバーで、お客はK君と妖艶という言葉が相応しい30代くらいの女性がいるだけ。
バーテンも席を外しているようだった。
キョロキョロしていると、女性が話しかけてきた。
『ねえあなた。ちょっと飲んだら、お姉さんと遊ぼう。誰にも邪魔されない、素晴らしい所で。』
K君は、夢なんだし楽しんじゃお。なんて馬鹿なことしか考えてなかったので、
『はい。お願いします。』
と答えてしまった。
女性はフフッと笑うと、手元の青色のカクテルをクイっと飲み干し、K君の手を握ってきた。K君は鼻の下を伸ばしながら、女性に連れられネオン街へと繰り出した。
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頭がズキズキと痛む。
気がつくとそこはホテルの一室だった。
ベットの脇にはラジカセが置いてあり、ユー〇ンのルージュの伝言が流れていた。
あれ?…これ夢なんだよな…
頭痛が妙にリアルなので、K君にはそれが夢なのか現実なのかの区別がつかなかった。
しかし異常なほどに頭が痛む。飲みすぎたのだろうか。
あ。あのお姉さんは。どこいったんだろう。
女性がいる気配はない。
嫌な予感がK君の脳裏に過った。
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友人が語っていたエイズ・メアリーの話
美女と一夜を過ごした男が朝起きて鏡を見るとそこには「エイズの世界へようこそ」という文字。
全く俺としたことが。とK君は笑った。
あまりに怖かったから夢にまで出てきたんだな。情けね〜とヘラヘラしながら洗面台へ向かった。そして鏡の前にピョンと飛び出した。
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そこには真っ赤な口紅で
【あなたの彼女はエイズよ】
と書かれていた。
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shake
ドサッ
ベッドから転げ落ちた衝撃で目が覚めた。
異常なほどに汗をかいている。
時計を見るともう夜の11時を回っていた。
夢かーーーーと安心するK君。
すると台所から料理でもしているのか、包丁で野菜を切る音と
彼女の歌が聞こえてきた。
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『あ〜の〜ひ〜とは〜あわててるころよ〜』
ん?これは…
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『バ〜ス〜ル〜ムにルージュの伝言〜』
たしかあの夢で聞こえてた…
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『手当たり次第〜友達に〜尋ねるかしら〜』
歌がピタッと止まる。
包丁の音も止まった。
暖簾越しに見える彼女のシルエットがK君の恐怖を掻き立てる。
そしていきなり暖簾をペラっとめくり、
K君へ顔だけ出してニコッと笑いながら
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『私がエイズってこと♡』
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作者ぎんやみ