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私が大学に入りたての頃に、校内で、
ある男性を見かけた。
ヤバいくらいカッコイイ。
顔は、ジョニー・デップ的な?
( うっわぁー、
うちの大学にも、
こんなカッコイイ人、いるんだぁー )
なんて1人で、キャッキャしていた。
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それから1年後、
私はその彼と、とある飲み会で、再開する。
( やっべー!あの人だ! )
勇気を振り絞り、
その人に話し掛けてみた。
「あぁ!?なに?」
( うっわー、なんて人だ、
イメージ型崩れですけれども )
そう思い、立ち去ろうとしたのだが、
彼が、
「お前さ、片桐は〇りに似てるな、
おもしれー」
( 絶対に、似てません!髪型だけです。
これは、私のプライドを賭けて、絶対に似てません!)
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そこから、私はその先輩と、何故か仲良くなった。
その先輩は、
「怖いもんなんかねーよ 笑。」
と言う、強気中の強気な人だった。
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ある日、私はその先輩に聞いてみた。
「だけどさー、先輩にだって、
過去に、ヤバいくらい怖かった事ってあるでしょーよ。」
すると、暫く考えていた様子だったが、
「あ、1回だけあったわ。」
「なに!?」
「言わない。」
何だよ、それ、と思いながらも、
「教えてー」と、100回くらい言うと、
渋々、101回目で、話してくれた。
「オレがさ、高校?ん時にさ、
男仲間5人くらいで、
夜、集まってたんだよな。
で、そん時は夏でさ、『肝試し』とか言う話になってさ、
1人のヤツが、気味悪い場所があるらしい、とか言い出したんだよ。
オレらは、すぐに行こうって、
5人で向かったんだけどな。
そこって、『縁切寺』って呼ばれる寺で、
本来は、病気とか悪運から、縁が切れるようにってお願いするとこらしいんだけど。
で、オレらは、こっそり夜中に寺に入ったんだよな。
でもさ、普通の寺でさ、
『どこが怖えんだよ!?』
と、周りはキレてたんだけど。
『いや、気味悪いって聞いたからさ、』
言い出した本人は、かるく焦ってたけど。
とりあえず、暗闇の中で、
懐中電灯1つで歩き回ってたらさ、
いきなり懐中電灯の明かりが、ある1本の木に向けられて。
そしたらさ、
その木には写真が貼り付けられてたんだよ。男と女?が写ってる写真。
でもさ、女の顔には、
釘やら針やらが全面に刺さってて、
もう、数え切れないくらい。
ぎっしりと顔中に刺さっててさ、
それを見た瞬間、オレ達はダッシュしたよ。
大の男5人がだよ?
あれは、マジで怖かったっつーか、
ビビったね。」
「へぇー、
先輩が逃げ出すくらいだから、
相当の恐怖だったんだねー」
私は、あまりピンと来なかったので、
( 何で、
この強気の代名詞と呼べるような先輩が、
そこまでビビったんかなー?)
と、素っ気ない返事をすると、
いきなり先輩がブチ切れ始めた。
「おめぇ、あの怖さが分かんねーだろ!?
だから、オレは、
幽霊なんて信じねえんだよ!!
人間の方が、よっぽど怖えからな!!」
確かに、そう言われて思った。
その釘と針が刺さっていた写真は、
明らかに現実だ。
現実に、誰かが行ったものだ。
「、、、うん、、、
確かに、怖いわ、、、」
私は、少しゾッとして、そう言った。
「そうだろ?」
と、いつもの先輩だった。
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『縁切寺』について調べてみたが、
やはり今でも、
そのお寺の木には、そう言った類の写真が
数多く貼り付けてあるらしく、
そのお寺のご住職が、
毎朝、1番最初に行う事は、
『そういった写真を剥がしに行く、』
と言う事らしい。
よっぽど恨みを持った人間とは、
何をするか分からない。
痴情の縺れで、
その相手を殺したいくらいに憎み、恨み、
自分の愛する人と、
その、憎くてたまならい相手との縁が切れる様にと、
『縁切寺』の木で、その木の下で、
恨みを晴らそうとしたのだろう。
恨みの念を抱きながら、
釘を、何本も何本も打ち、
針を、1本1本刺したのだろう。
私は、『丑の刻参り』を思い出した。
『丑の刻参り』は、その姿を誰かに見られると、その相手を殺さないと、自分に呪いが帰ってくると言われている。
( 諸説あると思います )
まぁ、私からしてみれば、
『丑の刻参り』をした時点で、自分の事など、どうでも良いと思うけれど。
ただ、今回の『縁切寺』には、
そう言ったルール?が、無いらしく、
比較的、簡単な恨みを晴らすやり方なのかも知れない。
しかし、細い細い針を何時間もかけて、
何本も何十本も、いや何千本も刺していく、
それは、
恐怖と言うよりかは、
狂気じみた人間の性 ( さが ) を感じ、
ゾッとし、
そして、時間が経てば経つ程に、何故か怖さが増していった。
この世には、不可思議な現象、
そして生きている人間が起こす現実。
怖さの意味は違うけれど、
両方、不気味で恐怖に感じるのは同じだ。
作者退会会員