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----初めに-------
これは、実話であり一切の脚色はありません。
こんな事を書くのは初めてです。
軽い出来事なのですが、
実際に起こった出来事であると言う、真実を知ってもらいたかったからかも、知れません。
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その日、私は家に居た。
いつも私がいる台所。
お気に入りの、座り心地の良い、
専務が座る様な椅子 ( 社長とまではいかない )。
クルクル回れるし、車輪が着いているので、
シャーッと移動できる。
私にしてみたら、
誰かさんのひみつ道具的な存在だ。
ヒマな時は、
そこで、イラストなどを描いたりしていた。
(イラストを描いたりするのが好きでして。)
その時に、母も台所にいたのだけれど、
私はイラストに夢中で。
すると、
突然、母が、
「あーっ!! 買ってくるの忘れたぁ!!」
「何を?」
「ネギ。ちょっと買ってくるわ。」
「はいよー。」
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母が出掛けてから、少しして、
私は、2階にある自分の部屋に用事を思い出し、
部屋へ向かった。
暫く自分の部屋に居ると、母が帰って来た様子。
「あれー?
K ( 私の事です )、何処におるんー?
2階かぁー?
ねぇー、何処におるんやー?」
母の呼ぶ声がする。
だけれども、
私は、不思議と返事をしなかった。
「声が出なかった、」と言う方が、正しいかも。
そして何故だか、自分が2階に居る事を、
悟られてはいけない気がした。
そぉーっと、忍者の如く、
階段を降りて行き、車があるか確認する。
母は、車で出掛けたので。
チラッと見てみると、いつも車が停めてある場所に
車は無い。
( えっ?)
私は内心焦り、また、静かに部屋に戻った。
部屋で静かにしていた。
かなりの不安だったが。
それから10分くらい経った頃だろうか、
母が帰って来た。
「スーパー混んどったぁ、疲れたわー。」
今度はすんなりと、
私は1階に降りて行く事ができ、台所を覗いた。
そこには、スーパーの袋が台所のテーブルに置かれていて、母が居た。
「ねぇ、おかん、
1回、家に帰って来たけ?」
私が聞くと、
「そんな邪魔くさい事せんわ。」
「そうやよね。」
「何や?なんかあったん?」
いや、別に、、、と、
私は、あえて母には言わなかった。
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その後、
今の出来事に対して疑問を抱えつつ、、、
そして、
よくよく考えてみると、
母は、帰宅した時に私がいなくても、
大声で私の居場所を聞いたりはしない、
と、言う事を思い出した。
何故、私は、
あの時の、1度目の母の声に、
返事をしなかったんだろうか?
何故、居場所を知られない様にしたんだろうか?
私自身も、よく分からないが、
ただ、あの時、
あの母に、返事をしていたら、どうなっていたのだろうか、
と気になる反面、
少し怖さも感じる。
この話を読んで下さった方には、
あまり、怖さは感じてはもらえないかも
知れないけれど、
日常的な生活の中で出会った今回の出来事は、
私にとっては、かなりゾッとした体験だった。
作者退会会員
軽い感じで読んで頂けるかな、と思いますが、
しかし、当時の私の恐怖はハンパなかったです。