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短編2
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桃太郎

──民家の片隅で産声が聞こえた。

大きな桃が真っ二つ。そっから赤子が飛び出した。

爺さん婆さん、子がいない。だから、たいそう喜んだ。

桃から生まれたそういうわけで、名前はもちろん桃太郎。

それから月日は過ぎてって、村には鬼がやってくる。

鬼は女をさらっていって、女はとうとう帰らない。

鬼が住むのは鬼ヶ島、取り返しに行く勇気もない。

村人みんな困ってた、そのとき一人が名乗り出た。

桃から生まれた桃太郎、自分が行くと言い切った。

だけれど爺さん婆さんは、とても心配でたまらない。

そんな爺さん婆さんに、桃太郎はこう感謝した。

これは自分の天命だ、このために僕は生きたんだ。

今までほんとにありがとう、かならず鬼を討ち倒す。

こうして彼は鬼ヶ島へ、赴くことになったのだ。

道中、家来を従えた。犬猿雉の家来たち。

お腰につけた黍団子、一つ私にくださいな。

そうして、一つあげたなら。彼らは共に来てくれた。

心強いや心強い。きっと討てるに違いない。

どんどん歩みは進んでく。家来を従え進んでく。

こうしてとうとうやってきた、かの鬼ヶ島へやってきた。

そこではひどい悪臭が、あちらこちらに溢れてる。

咽せ返るほどの悪臭で、家来たちはもう参ってる。

奥へ奥へと進んでいく。女の四肢が転がっている。

頭、胴、手足、バラバラに、女の四肢が転がっている。

なんて酷いと桃太郎、怒りがふつふつ湧いてきた。

そのとき大きな高笑い、とうとう鬼と対峙した。

刀を振るう桃太郎、それに続けと家来たち。

鬼の力は強大で、あれよあれよとただ一人。

家来たちは皆、殺されて。残ったのはただ一人だけ。

しかし、負けじと桃太郎。最後の力を振り絞り、刀を一太刀、鬼の首。

見事に首を討ち取って、成し遂げられた鬼退治。

鬼ヶ島には財宝が、湧き出のように溢れ出る。

財宝湧き出るその島は、まさにこの世の桃源郷。

村の皆んなでその島に、移り住むことになったとさ。

英雄になった桃太郎、殿様になった桃太郎。

贅の限りを尽くしても、なぜだが満足したりない。

そうして月日が過ぎてって、角が生えてきた桃太郎。

肌は朱色に染まっていって、人の言葉はわからない。

こうしてまたまた世界には、鬼が姿を表した。

──民家の片隅で産声が聞こえた。

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