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長編11
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カマタさん家

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この話を読まれる方へ。

まず、始めに、

この家は、存在していました。

( 今は分かりませんが。)

しかし、

この事件もまた、実際に起こった出来事です。

( なので、文中では、

違う名前を、使用させて頂きました。)

今回、私が、

この話を、怖話に投稿させて頂く事で、

『こんな家族が存在した』と言う証として、

皆さんに知ってもらえたとしたら、

彼らは、嬉しいのでしょうか?

それとも、余計なお世話なのでしょうか?

うーん、たぶん後者ですね。

お怒りに触れなければ良いのだけれど、、、

と、少々、弱気なあひるです。

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『カマタさん家』と言えば、

私の大学時代に、

知らない人はいないくらいの、

心霊スポットだった。

何でも、一家惨殺があったらしく。

家の中は、ちゃぶ台の上に、

小学生の漢字練習帳とか、鉛筆、、

コップや、かなり昔の新聞などがあり、

あと、洗濯物などもあったりと、

普段の生活が、そのまま残っているらしい。

犯人は父親だそうで、

家族を皆殺しにした後に、自分も自殺した。

しかし、

その、カマタさん家に纏わる、

有名な噂話があるのだが、、、

それが軽く笑える。

何でも、カマタさん家に行ったヤツらが、

台所にあった、ポットを持ち帰ったそうだ。

何やかんやで、帰って来て、

みんなで酒を飲んでいたらしい。

突然、その家の家電が鳴る。

「こんな時間に、誰だよー??」

みんなは言うが、家主は、電話に出る。

「もしもし?」

「ポット、返せ、、、」

下らん作り話だろうが、

何故だか、その噂は広まって行き、

カマタさん家に行くヤツらが、増えたらしい。

みんな、電話が掛かって来るのを期待して、

何かしらを、持ち帰る。

しかし、、、電話など来ない。

噂は、あくまで噂だ。

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そんなある夜、

美術科の皆で集まっていた。

そして、恒例の『心霊スポットツアー』が、

決行される事になった。

私達の行動は突如として、1秒で決まる。

「どこが良いかなぁー?」

「あっ、私、カマタさん家に行った事ないー、

行ってみたいぃー!!」

「あんまり、面白くないぞ?

まぁ、家のすぐ下が墓場だけどな。」

「えぇー、行きたいよぅー」

「 K (私の事です) が、そこまで言うなら、

行ってみるかー。

最初に言っとくけど、つまらんぞ?

後から、文句垂れんなよ?」

「へい、へい、、分かっとりますよー」

その場に居たのは、

男の先輩2人と、同じ学年の男友達1人、

女友達1人、そして私の5人だった。

どうやら、男性3人は、

既に、カマタさん家に行った事があるらしい。

先輩の車に乗り込む。

「大体の場所って? 何分くらいで着くん?」

女友達が聞く。

「あー、A市の山ん中。

夜だし、車で30分か、40分くらいかなぁー。」

「ふーん。」

下らない話を、車中でしつつ、

しかし、男友達が言い出した。

「オレさー、あの墓場、怖ぇんだよなぁ」

そいつは、怖い物無しで、

ちょっとでも、車を煽られただけで、

ブレーキを急に何度も踏み、

追突させようする様な、やんちゃ坊主だ。

( 実際、頭も坊主だが。)

私も一緒に車に乗ってたのだが、頭を叩いて、

「1人の時にやれよっ!!

アホタレめがぁー!!

後輩も、いるんですが!?」

と。

ある時は、幽霊を見たいと、

1人で山ん中に行き、真っ暗闇の中で、

ずっと木の下に座ってたそうで。

次の日にその話を聞いて、大笑いした覚えがある。

しかし、何故だか、そいつとは仲が良かった。

( 2浪してるから、私の2歳上だけど )

そんなヤツが、

その墓場を怖がるなんて、、と、

私自身、軽く怖くなった。

暫くして運転手が、

「この坂道を上ったとこに、あるからー」

「やべぇ、墓場だ、、」

「えぇー? あんたともあろうものが、

何で、墓場がそんなに怖いん?」

私は、不思議に思って訊ねる。

「分っかんないんだけどさ、

なぁんか、怖ぇんだよなぁー」

墓場が見えて来た。比較的、小さい墓場だ。

お墓の数も、そんなに多くは無い。

ヤツはずっと、

墓場に目に目をやらずに、反対方向を向いていた。

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「着いたぞー」

確かに、荒れ果てた一軒家。

いつから建っていたんだろうか。

みんな中に入った。

一応、「お邪魔します、」と、みんな言う。

礼儀と言うか、そこいら辺はきちんとする。

「えぇー、そのまんまじゃん?」

「ヤバくない?」

みんな、口々に言う。

「何で、惨殺事件があったのに、

血の跡が、無いのですかー?」

私が、阿呆な質問をした。

「知らんよっ!お前、黙っとけ!!」

( くそぅ、、、

気になったから、聞いただけなのにっ!)

その後、平屋だったので2階は無く、

トイレやら全てを探索し、私達は帰る事にした。

「お邪魔しましたー。」

帰り道、

何であのままで、残ってんのかな?

などと、会話をしつつ、

「Kさー、

だから、怖くねぇって言ったろー?」

「、、、うーん、、」

私は、いじけた。

「この後、誰かん家に集まるー?」

とか言う話となり、

運転手の先輩も、

飲むんだったら、

もう、家に車を持って行きたい、

と言う事で、

その先輩の、アパートに集まる事となった。

途中で、酒やらおつまみを買い、

ゾロゾロと、部屋に集まって、

みんなで、酒を呑んでた。

、、急に、先輩が言い出した。

「やべぇ、、

、、携帯が無ぇ、、、

みーちゃんに怒られる、、、」

ちなみに " みーちゃん "とは、先輩の彼女で、

世界一っ!!ヤキモチ焼きだ。

かなり嫉妬心強くて、、

いや、強すぎる程の、私の1個上の先輩だ。

そのせいで、何度、私にも、

火の粉が降り掛かってきたことか。

「車ん中とかじゃあ、無いのー?」

誰かが言う。

みんな、みーちゃんはどうでも良い。

私は、携帯を持っていたので、

「先輩の電話に、電話掛けてみますよ、

そしたら、音鳴るかも知んないし。」

そして、電話を掛けてみる。

部屋からは、全く音は聞こえない。

一旦、私は電話を切る。

車にも行ってみたが、着信音は聞こえない。

「どっかでさ、落としたとしたら、

誰かが、拾ってくれてるかもよ?」

「もっかい、電話掛けてみてっ!!」

みんなも、そう言うし、、、

私は、もう1度、電話を掛けてみた。

しつこく、

かなり、しつこく鳴らした。

「、、、も、し、、もし、、」

誰かが、出た。

中年くらいの、男の人の声に聞こえた。

「あのっ、すみません!

この電話を落とした者なん、ですけどっ、、、」

みんなに、安堵の表情が浮かぶ。

特に、落とした本人。

「どこに落ちてましたっ!?

今から、取りにいきたいんですけど、

大丈夫ですか? 無いと困るんです。

あっ、でも、もう夜遅いですしね、、、

無理なら、明日でも、、」

「、、、だ、、い、じょ、うぶ、、、

、、だ、よ、、、」

「えっ? 本当ですかっ!?

こんな夜中に、かなり、すみませんです、、。

ほんと、ありがとうございます!!

それで、、、あの、場所は?」

「、、、い、、え、、、」

「あっ、

分かりました!

すぐに、取りに行きますのでっ!!

家の場所を、

教えて頂けますか?

あっ、でも、、、

家とかって、ご迷惑ですよね、

何なら、

近くのコンビニと、、」

私の声を遮るように、その男は言った。

「、、、ば、しょ、、、

わ、、かる、で、しょ、、、

さっ、きき、、た、、

と、、こ、ろだ、、よ、、、、、、」

そうして、

電話はプツンと切れた。

( 、、、、、、。

、、、、、、、、、。

、、、えっ? 、、

、、え、、、?

、、、私、、今、、、

誰と、、喋って、、、たん、だ、、、?)

私は、呆然としていた。

不意に声がした。

「おぃ、K!

オレの携帯、どこにあった?

途中のコンビニとか!?」

私は、少しの沈黙の後に、首を振った。

「えっ?

じゃあ、どこ!?

誰かが拾ってくれたから、

そいつが、電話に出たんだろ?」

私は、正直、

何と言って良いのか、分からなかった。

「なぁ、Kさ、どこだよ?」

、、、、、、。

「、、、家、、」

「はぁ!?

家って、、、。

携帯、拾ってくれた人の家、って事?

オレの携帯、持って帰ったの!?

普通さ、届けるとか、何かしないか??」

「、、、うん、、

普通は、、、そうなんだろうけどさ、

、、、家って、、言ってた、から、、、」

「じゃあ、

その人の家の場所って、分かんの?」

私は、更に、、かなり返答に困った。

( どうしよう、、、)

しかし、言わなければ埒が明かない。

思い切って、話す。

「、、、あ、、あ、のさ、、

あの、、ね、

『さっき来たから、場所分かるだろ』

って、言われた、んだよ、ね、、、。

その、、、男、、の人、に、、、」

みんな、黙ってしまった。

、、、、、、、、、

、、、、、、、、、、、

、、、、、、、、

そんな雰囲気の中、

急に、坊主が言い出した。

「誰かのさ、イタズラなんじゃねーの?

Kさ、もう1回、電話掛けてみろよ?

それとも、お前、

怖がらせようとしてんじゃねーのー?

バカだな、お前?

そんなの、バレるっつんだよー!」

そうして、1人で笑っていた。

私は、、、

その坊主の言葉に対して、

かなり、腸が煮えくり返っていて、

( あぁっ!?

てめぇ、笑ってんじゃねぇよ?

こっちは、大変な思いしてんだよっ!!

この、クソハゲ野郎!!

その毛根を、

全て、焼き尽くしてやろうかっ!?)

そうして、

携帯を、坊主に差し出し、

「あ、そう?

じゃあさぁー、あんたがっ!!

、、、自分で、掛けてみろや、、?

あんたも、あの、気味悪ぃ男と、

話してみたら良いじゃん?

ほら? 早く、掛けろよ?

掛けろっつってんだろうがぁっ!?

あぁ!?

、、、と、私は思いますが。」

とりあえず、

ギリギリ切れずに、そう言った。

( えっ?

すでに、切れてるって?いやいや。

しかし、

今、思えば、彼なりに、

場を和まそうとして、

そのように言ったのかも知れない。

そう思いたい、けれども、、、

生憎、私は、かなり心が狭いので、

そうとは思えないですし。

大変に、大人気無いですが、、、。)

結局、坊主は、

私の言葉に、逆上する訳でも無く、

( 私は、坊主が逆上して、

殴る蹴るになると、思っていた。

実際、彼は、女の先輩の頭を、

他愛も無い理由で、かなり強く叩き飛ばす、

と言う事があったので。

最低な坊主だ。

私は私で、彼氏と1時間半に渡り、

殴る蹴るの

死闘を繰り広げた事があったので、

「クソハゲめ、かかって来い!」みたいな、

感覚だったのだが、少し、拍子抜けした。)

そうして、

坊主は、電話も掛ける訳でも無く。

( やっぱりな、、、

この、ビビりめがっ!!)

と、私は、軽く嘲笑う。ふふっ、、、。

( 性格が悪いとは、

私のような人間の事を、言うのだろう。)

そうして、

その場の雰囲気も、

どんよりとしたままだった。

先輩は、

明日の昼間に、携帯を取りに行くと言った。

じゃあ、今日のメンバーで行こう、

と言う話になり、

その後は、

1人でアパートに帰るのもイヤだし、、と、

変な空気のまま、

みんなで、何となく呑んでいた。

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次の日のお昼過ぎ、

先輩の家に、4人は集まった。

「、、、じゃあ、行くか、、」

昨晩とは打って変わって、みんな静かだ。

「ねぇ、ミスチル流してー!」

女友達が何となく、気を利かせて言う。

先輩は、ミスチルを流す。

その先輩は、ミスチルの声にすごく似てて、

カラオケに行っても、勝手にバンバン曲を入れられる程だ。

( ちなみに顔は、サッカーの中田似。)

そうして、

坂道が見えて来た。

墓場の横を通り過ぎる。

坊主はやはり、

墓場を見ないように、反対を向いていた。

( 何でだ、、?)

と、少し疑問に思ったのだが。

そうして、

カマタさん家の前に着く。

昼間でも、何処と無く不気味だ。

誰も車から降りない。

いや、降りれなかった。

その内、私はイライラしてきて、

( 私は、堪え性が無い。)

「あー!もう、私が取ってくるよっ!」

そうして、車を降りた。

「 待て、オレも行く。

、、、オレの携帯だしな。」

先輩と2人で、家の中に入った。

昼間と言う事もあり、昨晩よりかは、

家の中が見やすい。

2人で、手分けして探す、が、

携帯は見付からない。

「先輩! 私、電話掛けますよ、

そしたら音、鳴るし。」

先輩は、黙っていた。

私も電話を掛けるのは、正直、怖かったが、

携帯を見付けないと帰れない。

コール音が鳴る。

しかし、着信音は聞こえない。

しつこく鳴らす。

何故だか、留守電になってしまった。

『 コチラハ ルスバンデンワサービスデス ピーーットイウハッシンオンノアトニ オナマエ メッセージヲドウゾ ロクオンガオワリマシタラ シャープヲオシテクダサイ。

ピーーーッ 』

( 、、、っえ?

何を言えば良い訳、、?)

「あ、あのっ、携帯を取りに来ました。

どこにあるんでしょうか?

あと、昨晩は、大変に失礼を致しました。

申し訳ありません。」

そして、「#」を押した。

先輩の顔色は、もはや青い。

少し経ち、もう1度、電話を掛けてみる。

どこからか、少ーし着信音が聞こえる。

「どこだっ!?」

かなり、しつこく鳴らし続けたが、

今回は、留守電にならなかった。

2人で探し、ようやく辿り着いたのが、

ボロボロに破れた襖の、押し入れだった。

「オレ、昨日、

こんなとこに、入って無いんだけど、、、

何で、だ、、、?」

とにかく、押し入れの襖を開ける。

カビ臭いような、

鼻をつく、強烈な異臭がした。

押し入れの中には、

上の段に、ボロボロの布団、

下の段に、埃まみれの扇風機や、

色褪せた雑誌などが、入っていた。

そうして、先輩の携帯は、

上の段にしまわれていた、

ボロボロの布団の、丁度真ん中に、

綺麗に置かれていた。

私達はすぐ様、携帯を取り、

「ごめんなさい、

ありがとうございます!」

とか言いながら、家を出た。

外の空気が、妙にキレイだった。

みんなは、車から降りて、待ってたようだ。

心配そうにしている。

「携帯、見付かったぞー!!」

「ほんとー!! 良かったじゃんっ!!」

「、、、急いで帰ろう、、」

先輩はそう言うと、すぐに車を出した。

途中のコンビニで、

「Kさー、ありがとな」

と、先輩が言ってきたので、

「じゃあ、焼肉で良いよー?

ねぇ!!みんなさぁー!!

先輩が、焼肉奢ってくれるって!」

「マジでー?すげぇ食いまくろう。」

「お前さぁー」

先輩は、呆れ顔だったが、

少し、嬉しそうだった。

separator

その後、車に乗り込み、

帰り道にふと思う。

あの時に、私が、留守電に入れた言葉が、

正解だったのだろうか?

間違ってたら、どうなってたんだろうか。

少し怖くなった。

ちなみに、先輩は元々、

携帯を、留守電設定にはしていなくて、

だけど、念の為に留守電を聞いてみたが、

私の声など、

全く、何一つ、入って無かったらしい。

( ふ〜ん。

まぁ、あんまり変な事に、

巻き込まれなくて良かった。

仮に、私の留守電の言葉が、間違ってたとしても、

先輩の携帯が見付からずに、

終わっただけなんですけどねぇ〜

、、、プププッ。)

やはり、私は性格が悪い、、らしい。

その後、

気味が悪いと言う事と、

みーちゃんの苛立ちもあり (1番の理由 )、

先輩は携帯を変えた。

separator

こんな事があっても、

それでも懲りずに、

心霊スポットツアーに行くのが、

私達の、最もバカなところだ。

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