中編3
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「アァッんっんぅーイイイィイィッ」

と今日も隣の部屋から夜の声が聞こえる。

おれは今年で30になる独り身の寂しい男だ。おれには恋人がいないが、毎夜アパートの隣の部屋から聞こえてくる夜の声で充分だった。

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何をするのかって?決まってる左手にティッシュ右手にソーセージだ。

今夜の声はいつもより一段と凄いものでおれは幸福を噛み締めていた。

おれには、オカズにこだわりがあった。

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AVを見て済ませることもあるが、見ているといつも思うことがある。

「非現実で自分には起こらないから良いのだ」と。

それがそのまま、おれのこだわりとなった。

つまり、隣人の夜の営みから聞こえて来る甘美な生声も音声のみだから良いのだと。

もし仮に行為を見て、男女ともブスであれば死にたくなるだろう。

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だからおれは決して隣人の営みは覗かないように心がけていた。

それなのに覗かないと決めて実行しているうちに、その反面で「どんな奴らなのだろう?」と気になってしょうがなかった。

しかも隣人は1週間ほぼ毎日毎夜のこと交わり続けるので、日に日に相手の姿を見たいという欲が高まった。

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ついにおれは計画立てて相手の姿を見ることにした。

やり方は簡単だ。古いアパートなので押し入れから屋根裏に上がれる。

そこから隣の部屋に行き、事前に穴を開けておき覗くという作戦だ。

計画は完璧に思えた、あとは実行に移すのみだ。

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とは言え、おれは用心深い性格なので事前の準備は怠らない。

まずキリを持って隣人がいない時間帯に屋根裏から侵入した。

部屋の配置は同じだろうから大体押入れの箇所まで移動した。

触りながら移動していたら外せそうな板があったので、ここに違いないと思い外してみた。

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見事に押し入れであった。そこに静かに降りて静かにドアを開いた。

誰もいない。少しばかり部屋の中を散策した。ベッドの位置を確認して穴を開けるポイントを決めた。

そうしていると、ベットの上にある女性物の下着を見つけた。

赤色のパンツがあった。おれの好みの色だったので益々おれは決行するのが楽しみになった。

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もう、今夜にやってしまおう。と決めて急いでキリで穴を開けた。

近所の店で小さな望遠レンズを買って準備を完了させた。

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適当に時間を潰して夜を待った。やがて夜になり

「んんっあっあっんぅうあぁぁあっ」といつものごとく開戦した。

よし、そろそろ向かおう。とおれは張り切って屋根裏に向かった。

順調に事が進み、覗き穴までやってきた。

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『よし覗くぞ』と少し緊張しながらそっと穴に目を近づけ下を見た。

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地獄の光景が広がっていた。男だったのだ。両方とも。

男が男に跨りながら「アァッ」だの「イイ」だの言っている。声は女なのがまた気持ち悪さに拍車をかけた。

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あまりの気持ち悪さにおれは咳き込み

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ながら急いで自分の部屋に帰ろうとした。

焦っていたので「ドンドン」と音が鳴ってしまったのだろう。

「あれ?上に誰かいるみたい」と下から聞こえてきた。

それでもおれは何とか自分の部屋に戻り、冷蔵庫から酒を出して思いっきり飲んだ。

飲まずにはいられなかったのだ。

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そうやっていると「とんとんとん」とどこかから音が聞こえた。

『何の音だ?』と音の出どころを探すと

天井のようだった。「え?」と呟き、固唾を飲んで縮こまった。

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「こんばんはー」と隣にいた女の声が押し入れから聞こえた。

続けて「やあ、おれたちのS○Xは楽しめたかい?」

と男の声がした。

押し入れからムキムキの男2人がおれに迫って来る。

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おれは「ごめんなさい!覗いてました!許してください!」と土下座して謝った。

「いや、謝ることないさ。おれは仲間が増えて嬉しいぜ」と男の1人が言った。

「私もよ?それに君、私のパンティ触ったでしょ?」と女の下着をつけたもう1人の男が言う。

「いや、あの。僕はそっちじゃないので!ごめんなさい!すみませんでした。許してください!」と謝ったが。

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「あなたMなのね。お姉さんたちにお任せしなさい」と言われ、、、

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