【重要なお知らせ】「怖話」サービス終了のご案内

中編6
  • 表示切替
  • 使い方

粘着式ハエ取り

wallpaper:1063

どのご家庭でも、

特に、夏場などに、

ハエやコバエに悩まされた事は、

無いだろうか。

そうして、

ジェット型式の殺戮ガス。

あと、

巧みな心理作戦で、対象者を誘き寄せ、

粘着テープで拘束、監禁した挙句に、

じわじわと、死ぬのを楽しむ、

サイコパス的な殺害。

この、サイコパス的な監禁所は、

比較的に、

高い所に設置されているパターンが多い。

( 田舎では、大体そうなる。)

要は、部屋の上部などに監獄がある、

と言う事だ。

separator

ある夏の日、

私は、主任看守から、

監獄の取替えを、依頼される。

部下の看守である私は、

イヤだなと思いつつも、椅子の上に乗り、

鍵を開けるかの如く、天井のフックから、

監獄を外した。

中の囚人達を、見たくはないが、

見てしまう。

( かなり、投獄されたんだなぁ、)

まだ、微妙に動いてるヤツもいて、

私は、主任看守に訊ねる。

「あのー、

まだ生きてる方が、

いらっしゃるのですが、、、」

主任看守は、鬼の形相で言う。

「ガスを、撒きなさい?」

その主任は、

他の監獄でも噂される程の、冷酷人間だった。

私は、至近距離だった為、

ガスマスクを口に当てて、殺戮ガスを放った。

すると、主任がキツい口調で言う。

「そのまま、、、

何事も無かったように袋詰めにして、

捨てなさい?

良いわねっ!?」

「はいっ、分かりました。」

看守の私は、

主任には逆らえず、

そのまま、袋詰めにしていた。

しかし、

あれっ?と、気付く。

( 天井からの監獄に、

なんで、、、

こんなにも、髪の毛がくっついてんだ?)

主任は、髪は短いし、

私も、こんな黒くて長い髪などしていない。

主任の旦那は、、、論外。

まぁ、

1、2本なら、分かってやっても良いが、

その数は、それより多かった。

しかも、

その、大量の髪の毛の中で、

絡まってひしめく様に死んでる囚人が、

かなり多い事にも気付いた。

( 何これ、、、

かなり気持ち悪いんですけど、、、)

私は、主任看守を呼んだ。

「主任っ!これ、何ですか!?」

それを見て、少々驚いた様子だったが、

「捨・て・な・さ・い」

無表情の主任を見て、

私は急いで、彼らを袋詰めの刑に処した。

大半は死んでしまっているのだが。

separator

それから1週間程、経っただろうか。

私は気付く。

( 天井の監獄から、

何か、ぶらさがっている、、、)

私は、蜘蛛か何かかと思い、椅子に乗って、

中の囚人達の様子を見てみた。

( 、、、っ!?)

囚人達は、またもや髪の毛に絡まれている。

そして、黒い髪の毛にまみれて、

ひしめいている姿は、

そこいら辺の、B級ホラー映画以上だった。

そうして、

監獄から垂れ下がっていたものは、

その、黒くて長い髪の毛だった。

separator

私は、その日から、

囚人達を、今まで以上に監視する事にした。

髪の毛を持ってくるとすれば、

これから投獄されるヤツらの他に、

誰もいない。

( しかし、あの囚人達に、

そんな事が出来るか?

髪の毛なんて、持てないだろう?

生物学的に考えても。)

そうして、何故に、、、

囚人達は髪の毛の束に集まり、死を迎えるのか。

その頃になると私は、

立派で勤勉な、看守の務めを果たしていた。

夜、「異常無し」と叫び、床に就く。

翌朝、「異常無し」と叫ぶ。

夜、「異常無し」と叫び、床に就く。

翌朝、「異常あり」と叫ぶ。

( 、、、いつだ?)

私は考える。

ありとあらゆるパターンを想像し、

そうして、考える。

、、、答えは出ない。

( 何故、一晩の間に、髪の毛が、、、?

ここん家って、、

呪われとるんじゃねぇの、、、?)

とか、思いつつ、

私は、主任看守に、連絡報告をした。

「主任、報告致します。

髪の毛が、また付いております。

囚人が群がり、死亡しております。」

主任は、暫く沈黙だった。

その後、

「袋詰めにしろっ!」

そう言い、去って行った。

看守の私は、その通りにしたが、、気になる。

( この髪の毛は、、

一体、誰のものなのだろうか、、、?

しかも、なんで、

誰も手の届かない、天井の監獄に、

こびり付いているのだろうか、、、?)

、、、袋詰めにしつつも、

やはり、髪の毛の方に目が行く。

長いからかも知れないが、

かなりの本数のように感じた。

( うん?)

私は、気付いてはいけないものに、

気付いてしまった。

それは、

汚い髪の毛と、囚人達、

もとい、蝿の死骸の中にあった、

変な色の塊だった。

そこから髪の毛も生えている、ようだった。

( これって、、、

皮、膚、、、?

つーか、頭皮、、か、、、?)

私は、その事を主任には報告せず、

袋詰めにした。

そうして、

恐る恐る、主任に訴え出た。

「、、、、、、。

、、、天井の監獄は、、

閉鎖に、、しませんか、、、?」

「、、、。

、、良いだろう、、、。

天井からの監獄は、閉鎖しよう。

しかし『ジェット型式、殺戮ガス』は使う。

良いなっ!!」

「はい、、、

私は、天井からの監獄が無くなれば、

それで、、、」

separator

私は、最近、頭が痒かった。

お風呂に入っても、市販の薬を塗っても。

次の日に、頭皮に瘡蓋が出来てる程だ。

私の髪色は、

黒では無いし、あんなにも長くは無いが、

知らぬ間に、頭皮ごと髪の毛を、

むしり取られているのでは無いか、、、?

夜中に、

沢山の蝿が、私の髪の毛の中に、

集っているのでは無いか、、、

と、根拠の無い妄想で、精神的に参った。

( しかし、結局、

私の頭の痒さの原因は、

その年、仕事などで、夏のキツい直射日光を、

外で浴びることが多かった為、

それ故の、頭皮の炎症だったらしい。

病院に行ったら、すぐに治った。)

separator

人間と言うものは、

ちょっとした、何気無い事でも、

想像を膨らませ過ぎたり、

何でも、自分に引当ててしまうのだなぁ、

と、感じた。

ただ、以前に投稿させて頂いた話で、

自分の部屋に、まつわる話があるのだが、

( お読みで無い方へ。

ざっくり言うと、私が住んでいる場所は、

昔から、飲み屋街で、遊郭など、

色々とありまして、

そんな中で、

当時、そのような店で働いていた、

女性の方に関係する?私が体験した話です。)

しかも、

丁度、私の部屋は、

その監獄の真上にあった。

昔の女性は、髪が命だと聞いた。

しかし女性が、そこから逃げようとして、

捕まり、

だからと言って、商売道具である、

顔や身体に傷は付けられない。

なので、門番や店の連中は、

女の髪の毛を掴んで、引きずり回したそうだ。

幾本も、幾千本も、、、

それは、数え切れぬ程の髪が、

抜けた事だろう。

勿論、頭皮ごと、もがれたかも知れない。

いや、頭皮ごと、もがれたのだろう。

しかしながら、

客にとっては、お相手の女性の、

髪の毛が少し少なかろうが、関係は無い。

肌が、絹の様にキレイであれば、

それで良い。

髪は、女の命なのに。

私は、、、

彼女達を、気の毒には思うが、

あの監獄に絡まっていた髪の毛とは、

関連性が0に等しく思われる。

我が家の、粘着式ハエ取りとは、

何ら関係は無い、と。

変な関係性を持たれても困る。

あの監獄に絡まっていた、髪の毛の理由が、

本当に、未だ分からないし、

天井からの監獄が、私の一言で、

閉鎖に追い込まれてしまったので、

今となっては、その理由を知る由も無い。

今更、また、

監獄を吊るす気にもなれないし。

ただ、私は、

それ以上の事に、深入りしたくなかった。

ただ、君の悪さと恐怖心だけが、

心の何処かに、

何処か片隅に、残っているだけ。

separator

理由や訳など、分からない時がある。

こんな所に、在るはずは無い、

こんな所に、居るはずは無い、

そんな、世間一般の常識と言うのは、

時として稀に、覆される。

Normal
コメント怖い
12
13
  • コメント
  • 作者の作品
  • タグ
表示
ネタバレ注意
返信
表示
ネタバレ注意
返信
表示
ネタバレ注意
返信
表示
ネタバレ注意
返信
表示
ネタバレ注意
返信
表示
ネタバレ注意
返信
表示
ネタバレ注意
返信
表示
ネタバレ注意
返信
表示
ネタバレ注意
返信
表示
ネタバレ注意
返信
表示
ネタバレ注意
返信
表示
ネタバレ注意
返信