影ってのは光が物にあたればどこにでもできますよねぇ。普段気にした事なんて無いのですけど。
昔の本とか文献を漁っているとね、影にまつわる面白い記述が結構あるんですよ。
とある国では「影を売った男」っていう伝説がありまして。本当にあった事かどうかは知りませんが。
男は一時的な大金を得たものの結局、影が無いことを理由に人間社会じゃ生きられなくなって、森に潜んで仙人みたいな生活をしたそうです。え、影をどうやって売るのかですって?
じゅうたんみたいにクルクル丸めてしまうんですよ。その発想が面白いですよね。
牛鬼、って知ってますか?これは妖怪辞典を調べればすぐ出てくるようなメジャーな妖怪です。私はあまり人様の書いた物を引用したくないんですがね。影をなめて影ごと人の命を取る、恐ろしい妖怪です。田舎の海岸、山に出没するみたいで‥会わない事を願いましょう。
影法師って言葉がありますよね。なんで法師なんでしょうか。遠い昔にね。坊さまがお侍に切り殺されそうになって。まあ坊さまはそこで殺されてしまうんですけど、影だけが逃げていった‥こんな事もあるんですよ。
俗説では死期が近くなった、もしくは生気がすいとられてしまった人間は、影が薄くなったり消える事があるとか‥やっぱり影は人間の魂、みたいな物を反映しているのでしょうかねぇ。影を踏まれた女の子が「痛い!」と叫んだ‥なんてちょっとした怪談みたいになりませんか?
さて。なぜ私がこんな話をつらつら書いてきたのか。そのわけを話しましょうかね。さっき部屋で一人で作業をしていたのですが、突然私の影がなくなったんですよ。それからどうやっても
私の影だけ出来なくって。机とか本の影はちゃんと映るのにねぇ。なんだか眠くなってきたから寝ますけど、私はちゃんと目を覚ますのでしょうか。
あぁ、真っ黒な人達が笑っています。顔も真っ黒なのになぜ笑っているのがわかるのでしょうか。
やだねぇ。おおこわ。
作者嘘猫
実話怪談は苦手なんですよね‥本当に起こった事に実在する妖怪と私の創作話の種をつぎはぎしてこの話を作りました。なにが本当で何が嘘かはご想像におまかせします。普段はもっと創作じみた話を作るのですが今は気力が‥因みにこの辺の話はどれだけでも語れますが、今日はこの辺で。おやすみなさい。