中編7
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七日目の日没までに・・

くそ、やつらどこに隠れてんだよ

今日で5日目

体力も限界に近い。

刃渡り20㎝あるナイフを握りしめながら森を彷徨う。

この無人島にいるのは4人

鬼の俺と、顔も知らない3人

あと2日しかない、3人を見つけて殺さなければ・・

ん? この匂い・・

焚き火だ! どこからだ!?

嗅覚を全集中させ匂いがする方向へと向かっていく。

5分ほど歩くと煙が微かに肉眼で確認できた。

身を小さくし、忍び足で近づいていく。

1人の男がいた。

40代半ば辺りか、、

岩陰に身を潜めその男の行動を観察する。

どうやら食事のようだ、焚火で動物らしき何かを焼いている。

他の2人は居ないようだ。

今がチャンス、、

しかし問題はここからだ、どうやって近づき、どう殺すか

その男まで距離は約20m

理想は気づかれずに一瞬で決めたいが、男がいる周囲には物影がなく

限界まで近づいて、そこからダッシュしても気づかれてしまうだろう

出来れば争うリスクは避けたいが、確実にこっちが有利な状況・・

男まであと10m、これ以上は物影がない

脈をうつ音が体全体で感じるほど心拍数が上がっている

とその時!

死ね~~~っ!!

いきなり2人の男が現れれ、その男を木の棒で滅多打ちにしている。

数秒は抵抗していたが、2人の奇襲に敵うはずもなくあっけなく倒れ・・

そして恐らく死んだ。

どういう事だ、、何が起こってる、、

仲間割れか?でもなぜ?

まて、何か話してるぞ

「やばい、死んじゃったよ、、ってかこいつ鬼じゃねーよ!

マジかよ、どうすんだよ」

どういう事だ?

推測だが、もしかしてこいつらも他人同士だったってことか?

そうなるとこの3人にとっては会った人間=鬼の可能性、、

それで何らかでこの2人が出会い、結託したってことなのか?

それにしてもさっきの話はなんだ、、「こいつ鬼じゃねーよ」ってどうして分かったんだ?

俺が鬼なのは間違いない、そう説明を受けた。

しかし渡された支給品はナイフと食料だけで他には何もない。

他の3人には鬼の区別が分かる‘何か,を伝えられているのかもしれない、、

この状況を考えるとそう推測するしかない。

それともう一つ重大な勘違いをしていたようだ。

恐らく他の3人へのルールは鬼から逃げ切るか、鬼を殺すかだ、、

2人が結託した以上、状況は1対2ということだ。

鬼の俺へのルール説明はこうだ

・鬼は7日目の日没までにこの島にいる3人を見つけて殺すこと

・時間内に殺せなければゲームーオーバーとなり死ぬ

・クリア報酬は当ゲームに掛けられた掛け金の5%(1億円は保障とする)、犯罪履歴の抹消

新しい身分証明の発行、身の安全保障

                            以上。

無期懲役で服役中の俺には一発逆転の願ってもない話だった

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とにかく今は冷静になろう、ポジティブに考えるんだ。

1人は死に、残りの2人は今目の前にいる。

そして2人の武器は木の棒、これが現状だ。

「とりあえず戻るか・・」

そんな会話が聞こえた、2人は自分と逆方向へ歩いて行った。

ここで見逃すわけにはいかない、

距離をおおいて2人にバレないように追尾する。

10分ほど追うと2人は寝床と思われるスペースに腰を下ろして何やら作戦を立てているようだ

この状況、もはやどっちが鬼なのかも疑問になる。

奴らのリスクとリターンはいったいなんだ?

逃げ切るだけじゃないのか?

なぜリスクを負ってまで鬼を殺そうとするのか?

逃げ切るより鬼を殺した方が報酬がいいのか?

いやいや、そんなこと俺にはどうでもいい

俺にはこの2人を殺すしか生きる道はない。

そんな事を考えるうちに日没が始まり辺りが暗くなってきた。

向こうはこっちに気づいていない、今夜で決着をつけてやる。

恐らく交代で睡眠をとるだろう、一人は隙を見てやれてももう一人は出たとこ勝負に

なるかもしれないな。

夜が更け森の中は月明りでぼんやりと照らされている

予想通り一人が寝たようで、もう一人は木を背もたれに見張っている様子だ

15mほど離れた岩陰から獲物を狙う野生動物のごとく身を潜める

ギコギコギコ・・・

男が何か作業をし始めた。

チャンスだ!

その音に紛れてゆっくりと背後に回り近づいていく

ギコギコギコ、、

あと10m、、9,、8,、、、、7,、、、、6、、、

ギコギコギコ

5,、、、4、、、、3、、、、 

ギコ、、ギコ、、ギ、、、コ、、、、、ギ、、 ん? 

誰かいっ、、

 

グサッ。。

俺は男の口を手で抑えながらナイフで喉をかき切り、死ぬまで暴れられないように

後ろから羽交い締めた

その数秒後、男は動かなくなり死んだ。

その間もう1人の男が物音に気付き、今ちょうど視線をこっちへ向けようとしていた。

それと同時にダッシュし男にまたがり何度もナイフを振り下ろした

またがっていた俺のズボンから生暖かいものが感じてくる

2人は死んだ。

ハア、、ハア、、ハア、、ハア、、、、ゴクン、、ハア、、

やった、、、やったぞーーーっ!! 

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寝てしまったようだ、、

あれ、、どうしてベッドの上に?

ここはどこだ、、

手足は固定され、頭にはよくわからない装置が付けられいた。

そして医者の恰好をした2人がで俺を覗き込んでいる。

「○○さんおはようございます、終わったばかりですのでまだ安静にしていて下さい」

そういうと手に持っていた薬を投与され、また意識がなくなっていった。

次に目が覚めると俺は見覚えがある部屋にいた。

車椅子に乗せられている、手足は固定され自分では動けない。

ここは、、、

そうだ、ここは俺が居た刑務所だ、

俺はいつの間に戻ってきたんだ、、

あの2人を殺してからの記憶がない・・

その時、ちょうど監守が前を通った

ちょっと監守さん!

おれはゲームに勝ったんだ、早くここから出せよ!

話し聞いてんだろ!

「気が付いたか、ちょっと待ってろ、今連絡してくる」

 

なんなんだよー、さっさとしろよ! 

30分後、監守2人と何やら偉そうなやつ1人が俺の前に来た。

「これより裁判所へ移動する 以上」

それだけ言うと1人の監守が車椅子を押しはじめた

なんだよ裁判所って! 

なんの裁判だよ!

俺はもう自由なんだよ!早く開放しろ!

・・・

なんとか言えよコラっ!

・・・

監守は何も言わず俺を裁判所まで移動させた。

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法廷に入ると俺が昔に殺した被害者の遺族、検察、裁判官、勢揃いだ。

なんだよこれ

あっ、、はいはい、、そうか! 

俺は無罪になったんだもんな、裁判で正式に決めるってか!

よく遺族もこれたもんだわ! 

そう心で思うと顔がにやけてしまった。

そして裁判が始まる

「え~、まず皆様にはこちらの映像を見ていただきたいと思います」

ふと喋ってる奴の方をみると、、

あれ?あいつあの時の医者じゃん、なんでお前が進行やってんだよ(笑)

法廷が暗くなり、プロジェクターで映像が流れ始めた。

なんだよこれ、、 

この映像って、、はぁ?

撮ってたのかよ

その映像は、あの森の中だった、

1人の男が木を背もたれに、、もう1人は寝ている、、場面だが、

何かおかしい、、

映像は雑で、殺される場面がドアップで視点がグルグルしたりして非常に見づらい。

ってかこれ誰が撮ったんだよ、、

1人目を殺し、映像の視点はもう1人の方へ向った。

そして画面中央に男の上半身、、背景は地面、、

この視点、、  ありえない、、

馬乗りになった時のこの場面、、

この映像は俺の視点しか撮れない。

どういうなん事だ、、俺の真後ろに居たってことか?

そんなはずはないよな・・

映像はそこで終わった。

そして検察が口を開いた

「裁判長いかがでしょうか、彼は18年前の判決後、遺族に死んでお詫びをしたいと言っておりました。 しかし実際はどうですか、更生どころか金と自分の身の為だけに2人を殺したのです。

よって仮釈放を認めないもとより、死刑を求刑します」

裁判長、いかがでしょうか?

「情状酌量の余地なし、死刑とする。 以上、閉廷する」

こいつらは何を言っているんだ・・

仮尺だ? 

死刑だ?

おい!

お前ら何勝手言ってやがんだコラ、おれはこのゲームに勝ったんだよ!

お前らが状況分かってねーんだよ! 

分かるやつ連れて来いよオラ!!

その時、横にいた医者らしき奴が口を開いた

「君ね、これは君の頭の中で起きた出来事なんだよ。

ある装置を使って君の脳へ伝達させ、その後映像化させたんだよ。

だから実際には誰も死んでないし、もし君がこのゲームで負けても死ぬ事はない。

夢を見させたって言えば分かるかな? 

君は無期懲役で服役18年目、これは仮釈放前のテストだったんだよ。

君が誰1人殺さずにゲームオーバーになれば仮釈放が認められたんだよ。まぁ今回みたいに逆に死刑になることも多いんだけどねー、 あの時被害者の遺族には死をもって償いたいと言っていたみたいだね、けど実際の君は生き残る為に2人殺してしまった。仕方がないよ。 おっと喋りすぎちゃったかな、、それでは・・・」

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