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先月高校の同窓会があったので行ってきた。
そしたら元カレが精神病んで入院しているとの情報を聞いた。
元カレは母校で先生やってたらしい。
そこで思い出したというか、もしかしたら精神病んだ原因ってこれじゃない?って話が皆の間で出たので聞いてほしい。
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まず時を遡って、自分たちの高校こと。
自分のいた高校には独特な怪談があった。
「どぉじしお」っていう醜い女の霊がうちの学校には住み着いていて、その「どぉじしお」に魅入られた男は気が狂ってしまうというもの。
魅入られる男にはいくつか条件があって、「背が高い」「イケメン」「視力が悪い」とか色々あった。
でも一番の条件は「成人していること」だった。
当然学校の話なので、成人している生徒はいなかった。
つまり対象なのは生徒じゃなく先生の方。
実際精神が崩壊して辞めた先生も自分たちの代で何人かいたし、その先生は皆男だった。
当然先生たちは皆その怪談を毛嫌いしていて「どぉじしお」の名前を聞いただけで怒鳴り散らすような先生もいた。
生徒の自分たちは対象が違ううえに一風変わった怪談なのもあって内心この話を面白がって先生のいないところでコソコソ話し合っては「どぉじしお」の考察とかしてた。
考察っていうのはその名の通り、なんでその先生が魅入られたのか、とか、そもそも「どぉじしお」って何?みたいなのをそれぞれが独自に考えるみたいな感じ。
「どぉじしお」の情報は名前と学校に住み着く幽霊だってこと、そして気に入った男の気を狂わせる醜い女ということ以外無かった。
他にも、かつて先生だった、魅入られたらその女が美人に見える、など色んな話が出てきたけど皆が共通して知ってた確かな情報ではなかった。
それくらい確かな情報の無い淡白な怪談なのに何故か学校にいる先生含め全員が「どぉじしお」のことを知っていた。
元カレとまだ付き合ってた時、彼は「どぉじしお」の話を嫌がった。
本当かどうかも分からない生産性のない話だからとか理屈こねて言ってたけど、本当は自分が将来先生になろうとしてたから怖かったんだと思う。
そんな元カレは一回学校で倒れたことがある。
意識を失っているみたいで何の反応もなかったけど当時彼女だった自分は心配で同じクラスだったからすぐ傍で声をかけ続けてた。
数分すると元カレは意識を取り戻した。
ホッとして彼の顔を見るとひどく青ざめてたからまた心配になって「大丈夫?」って声をかけたら一言。
「分かった。」って。
何が分かったんだろう、意味が分からなくて聞き返したけどそれきり無言で早退したから何も聞けずじまいになった。
今思うと「どぉじしお」に関係のある何か、が分かったんじゃないかな。
翌日から普通に登校してきたけど記憶がないの一点張りで何も言ってくれない。
それが不信感に繋がったことで喧嘩になり結局別れてしまった。
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これが高校時代の話。
同窓会でその時の話をしたら昔のように皆の考察が始まった。
前から「どぉじしお」に目を付けられていて成人したから魅入られた、倒れた時から「どぉじしお」に憑かれていた、「どぉじしお」の秘密を暴くために気が狂ったフリをしている……
本当っぽいのから突拍子もないのまで色んな説が出た。
一番有力なのが「分かった」のは「どぉじしお」の対処方法で、満を持して母校の先生になったが敵わず魅入られてしまった、という説だった。
他の同級生の話だと、元カレに「どぉじしお」の対処法を聞かれたことがあるらしい。
元カノの私の話、友人の話、部活仲間の話を組み合わせるとその説が一番腑に落ちるものだった。
その後皆で「どぉじしお」って結局なんだろう、彼も回復するといいねって結論に至ってから分かれた。
また同窓会しようねって約束して。
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ここからはまだ誰にも言ってないこと。
元カレ、実は浮気してたんだ。別れた本当の理由はこっち。
浮気されたんだって思われるのが嫌で隠してたけど、ムカついてたから内心陥れてやりたい気持ちもあった。
だから私にとって「どぉじしお」って案外悪い存在じゃないのかも。
女でもう母校に入ることの無い自分は「どぉじしお」のことをこれ以上知ろうと思わないし知りようがないけど、もし学校の先生してる男性がいたら気を付けて。
「どぉじしお」に魅入られないように。
作者お礼ちゃん
「どぉじしお」について元カノ目線の話でした。