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短編2
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日常怪談「傘」

僕の友人には面白い死に方をした奴がいる。

彼はある日突然、傘が動いているという連絡を僕によこした。

僕は動く傘というのに興味があったので、夜中にもかかわらず彼の家に行ってみると、たしかに彼の傘は動いていた。

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残業を終えてくたくただった彼は、濡れたばかりの傘が犬がするように水滴を身震いで落としているのを、癒されるような表情で見つめていた。

「なあ、すごいだろ」

「ああ、すごい」

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僕たちはふざけて、返事の仕方や誰かに盗まれそうになった時の威嚇方法なんかをその傘に教えた。

そして翌日から彼は晴れの日でも傘を持ち歩くようになった。

彼の傘は、紐で縛られたり杖代わりにされるのを嫌がる、どこまでも人間らしい奴だった。

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ある日、僕は傘を持った友人の彼と久々の休日を散歩していた。

最近彼と連絡を取れていなかったので、彼の傘の近状を教えてもらいながら歩いていると、ぽつぽつと雨が降り出した。

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「傘持っててよかったな」

「ああ」

彼の話によると、どうやら彼の傘は言葉を話せるようになったらしい。

僕は傘の言葉を聞きたいと思って話しかけたその時、頭上の空で稲妻が走った。

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「まずい!」

その声は、彼の傘ではなく人間の彼の声だった。

しかしこの時の彼は、人間というより傘人間であった。

彼は広げていた傘が急に閉じたことで、胸あたりまでが傘の中にすっぽりと埋まった。

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彼の傘(傘の彼?)はもぞもぞと動いていて、痛い痛いという声はおそらく中身の彼の声に違いなかった。

遠くでごろごろと空が鳴った時、その音に紛れて「カミナリコワイ」と聞こえたが、その声は彼とは似ても似つかない、女の声だった。

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そしてそのまま彼は息を引き取った。

ちなみに彼の死因は窒息であった。

傘の中で何が起きていたのか、それは彼と彼の傘以外しか知らないのだが、今では僕のものになった僕の傘は、いっこうに教えてくれようとはしなかった。

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