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短編1
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回転寿司

家族で某有名チェーンの回転寿司屋にいった。

こんなご時世にもかかわらず店は賑わっていて、俺たちは二十分ほど待たされてようやく席につけた。

「いんやぁ!」

とつぜん弟が変な声をあげた。

弟はいま流れていった寿司ネタの中に人間の指が混ざっていたという。

そんなはずがないだろうと、みんなは弟を馬鹿にしたけれど、実は俺も見ていたんだ。

シャリの上に、今ちぎれたばかりのような赤い線を引いた人差し指が確かに乗っていた。

俺は、弟のように悲鳴すらあげられずにただそれをじっと目で追っていたんだけど、俺たちとレーンを挟んだ反対側のボックス席から、とても人間のものとは思えない、枯れ枝のような細長い腕が伸びてきて、ひょいとその皿を持っていってしまった。

俺はすぐさまそちらの席に目をやったんだが、誰が座っている様子もなく、これだけ店が繁盛しているのに、結局、その席だけは俺たちが帰るまでずっと空席のままだった。

困惑する俺と目が合った店員さんは、複雑な表情を浮かべながら頭を下げた。

これは俺の推測にすぎないが、そこの席は人成らざるモノの優先席で、人成らざるモノ用の寿司もこのレーンに流しているのではないか?

結局、俺も弟も全く食欲が湧かず、家族が心配する中一皿も手をつけられなかった。

だって、カエルの軍艦巻きや、コウモリの生首がシャリの上に乗って流れてきたら普通は無理…

ですよね?

Concrete
コメント怖い
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