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短編2
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トイレ

やあ、ロビンミッシェルだ。

俺が営む片田舎のラーメン店。数年前に中華料理屋をたたんで、新たにラーメン屋で勝負をかけたわけだが、オープン直前に、俺の師匠である鍋振り達人の(プロフェッショナル)谷河さんに教わった事がある。

「ロビン、店のトイレだけは必ずおまえが掃除をしろ。バイトにやらすんじゃねーぞ。店主であるおまえがする事に意味があるんだ。店を繁盛させたかったら、俺の言うことを聞いておけ」

谷河さんはそう言うと、腱鞘炎の左手をクネクネと動かしながらカッコよく去っていかれた。

俺は師匠の教えを守り、オープンしてからというもの、トイレを毎日ピカピカにしている。

トイレには神様がいるんだとスナックのママに聞いた事もある。そのおかげか、今のところ店も順調に成長している。

だが、最近そのトイレ掃除が苦痛でしかたない。理由はうちのトイレには神様ではなく地縛霊が住んでいるからだ。

毎朝、トイレのドアを開くと、センサーが働き、自動で便座があがる。

すると、決まって便器の中から中年女性の生首がゆらゆらとせりあがってくるのだ。

俺はその女性を知っている。

俺が入る以前にこの場所で焼き鳥屋を経営していた女店主だ。

彼女は経営に行き詰まり、この店で首を吊った。事故物件であろうが、商売をする上ではなんの問題もないと俺はこの場所に決めたのだが、こう毎日毎日出られると、どうも気が滅入ってくる。

俺は今日もトイレのドアを開き、自動的に上がった便座の下からニョキニョキと顔をひねり出してくる女主人に向かって、袋に入った特製の塩を投げつける。

「うぎゃん!」

大抵はこの一発で勝負がつく。掃除の時間が倍に増えるがこの際、致し方ない。

俺はこの女の顔を一秒でもながく見ておきたくはないのだ。

ふふふ。話はこれでおしまい。

それではまたお会いしましょう…ひひ…

Concrete
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