日曜日 プロローグ
成仏する方法をついに見つけた。私は笑い足りなくて、まだこの世にいるのだ。試しに老人の前に現れてみると、彼は変な声をあげて入れ歯を飛ばした。それを見て笑う私は少し薄くなる。間違いない、私は笑い死ぬのだ。
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月曜日 ホイッスル
さあ、試合の幕開けだ。今日はサッカーの試合に紛れ込んで、笛を咥えて走る審判を驚かす。情けなく鳴り響いた笛の音に、選手観客みんなが注目。狼狽えた彼は見えない誰かに対して、レッドカードを出して、退場した。
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火曜日 サウナ
男湯のサウナはむさ苦しい。そこに私という女神が現れると、男はみんな釘づけになった。私は暑いから全部脱いでみる。男はタオルの下を元気にする。でもその状態では出られないよね。地獄の耐久レースのはじまりだ。
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水曜日 カミナリ
部屋で男女がいちゃついている。女は雷が怖いらしい。大丈夫だよ。そう囁く男を、雷の音に合わせて驚かす。わっと後ずさる男に、女は軽蔑の視線を投げかける。女は突き飛ばされたのだ。光の速さで、平手が打たれる。
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木曜日 葬式
長年連れ添った妻の葬式。夫は悲しそうだったけど、棺桶の上に現れた私を見て「妻はこんなに別嬪じゃない!」と叫んだ。妻が化けて出たと思ったのだ。突然彼は卒倒したが、私は幽霊の妻が彼を殴るのを見てしまった。
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金曜日 あなたも?
なかなかアイデアが浮かばない私は、原点回帰でじ様の入れ歯を飛ばしてみた。その隣でば様はげらげら笑ってた。そしてば様は天に召された。ああ、あなたも笑いで成仏する幽霊だったのね。じ様はなぜか、涙目だった。
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土曜日 エピローグ
笑えば笑うほどこの世に未練が残る。成仏なんてしたくない。そんな私の目の前に、見える男が現れた。これからは俺が笑わせてやるよ。そして放たれた寒いギャグ。彼に付き纏われるのは嫌。私はあっけなく、成仏した。
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エピローグ その後
1人残された侘しい男。しばらくは目をぱちぱちしていた。しかしどこからか声が聞こえた。その声は自分を見て笑っている気がした。何も喋らない方が面白いってか。彼は甲高い声でこう叫んだ。
「チクショーーー‼︎」
作者退会会員
つまらなかったら、忘れてください。
面白くても、忘れてください。
タイトルが気に入ったら、読んでみてください。
気に入らなくても、読んでみてください。
つまり、僕が言いたいことは、
読んですぐに忘れてください。
by 100文字にとり憑かれた男