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中編3
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あちゃん

何年前か忘れましたが、これは夜行バス内で子供達がやってた怖話を盗み聞きしたものです。

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これね、私のお母さんが子供の頃の学校の七不思議。

「あちゃん」というのが噂されていたんだ。

校庭で遊んでるといつの間にか知らない女の子が一人混ざってるの。

誰かが気が付いて話しかけると

「あ」

と言ってどこかへ走り去ってしまうの。

それがあちゃん。

どんなに足の早い子が後を追いかけても絶対に追い付けなかったみたい。

ある時、クラスであちゃんは本物の幽霊なのか逃げ足の早いだけの普通の子なのかどっちか確かめてみようって話になった。

数日後、あちゃんを見付けた子があちゃんのほっぺに油性マジックペンで×印を付けた。

すかさず別の子が赤い裁縫糸の付いた釣針をあちゃんの服に引っ掛けた。

あちゃんが走り出すと糸を辿りながら皆で追い掛けた。

皆この赤い糸がどんな魔界に通じてるのか興味津々だった。

糸は意外な場所に続いていた。

旧校舎の図書室だ。

糸は本棚の真っ赤な分厚い本に挟まっていた。

本には×印も付いている。

あちゃんにこちらの意図に勘付かれてからかわれてるんじゃないかと数人がシラけてそのまま家に帰ってしまった。

その場に残った数十人で赤い本を開いてみた。

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「あ」

それは絵本の様だった。

その本の最初のページにはあちゃんの姿が描かれていた。

それは写真の様にリアルな絵だった。

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表紙には真っ赤な鳥居だけが描かれており題名も見当たらない。

どうにも不気味な絵本で文字も書かれていない。

そしてページを捲る度にあちゃんの絵がだんだんと歪んでいく。

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半分位読み進める頃にはあちゃんの姿は鋭い牙と爪と角が生えており肌は緑色に変色している。

完全にバケモノだった。

男子はケラケラと面白がっていたが女子は泣き出していた。

赤い糸は最後のページに食い込んでいる様だった。

あちゃんの最終形態見たさに男子はどんどんページを捲っていく。

あと数ページの所で女子達は限界となり全員図書室を出てそのまま帰宅した。

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翌日。

出席を取る時にクラスは凄まじいパニックに陥った。

男子生徒が女子の半数以下だったせいだ。

担任がパニックをなだめ様とするが議論は並行線だった。

図書室から戻った女子と一部の男子は「男子と女子は同数だった筈だ」と主張し行方不明の男子生徒達の名前を叫んだ。

担任は「このクラスは男女同数でもないし、そんな男子生徒は知らない」と応酬する。

その後、行方不明になった男子はあちゃんに食べられてしまったのだとクラスは恐慌状態となった。

多くの生徒がショックから登校拒否となり1ヵ月は学級崩壊状態だった。

それ以来あちゃんは姿を現さなくなった。

お母さんの2学年上の先輩達が実際に体験した話らしい。

確かにそのクラスだけ不自然に男子生徒が少なかったんだって。

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お母さんが旧校舎の図書室へ肝試しに行った時にはもうその赤い本は無かったみたい。

埃被った本棚に一ヶ所だけ埃を被っていない本が一冊分抜けてる部分があったらしいよ。

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