短編1
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はいずるもの

友人の弟が中学の修学旅行の時に体験した話です。

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旅館に泊まった時の事。

教師達が寝静まった後、定番の枕合戦をしていた。

古いの旅館なのかドスンドスンと部屋が揺れた。

体育教師の森川先生も飛んで来る。

廊下から障子を勢い良く開けて

「こらっ!」

「フヒヒ・・・サーセンサーセン」

いつも鬼の様に厳しい森川が今日ばかりは顔がニヤけている。

かつての自分にも心当たりがあるのだろう。

その時だった。

ゴトゴトゴトゴトゴトゴト!

廊下の奥から物凄い音と共に何かが森川の足元をはいずり抜けていった。

開いた障子の奥を横切ったのは頭が何個も付いている黒い影の様なモノだった。

足元を走り抜けていくそれ見ていた森川はこう言った。

いマの・・・おまえたちはみナいほうがィ・・・・

森川が足を引きずって部屋に戻っていった後に何とも言えない気持ちの悪い静寂が訪れた。

その晩はずっと電気を点けて過ごした。

勿論一睡も出来なかった。

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