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ある国の王女が、森の泉に金の鞠を落としてしまいました。
そこへカエルがやってきて
「私を王女様のお友達にしてくれて、隣に座って同じ皿から食事を取って、あなたのベッドで寝かせてくれるのなら、拾ってきてあげよう」と言いました。
王女は
「いいわよ」と言いました。
カエルは王女に鞠を返しました。
すると、王女はカエルを置き去りにして走って城へ帰ってしまいました。
翌日王女が家族と夕食を取っていると、カエルが城に現れました。
カエルは王女に
「王女様、約束を守ってください。」と言いました。
それを聞いた王が
「約束とは何かね?」と王女に問いかけました。
王女は昨日のことを王に話しました。
事情を訊いた王は、
「王女よ、約束を守れ!」と命じました。
王女は嫌々ながらもカエルと一緒に夕食をとりました。
するとカエルは、
「王女様、あなたのベッドで私と同衾をしてください。」
と要求しました。
王女は恐怖と嫌悪を感じ、泣きながら
「いやですわ。」と拒みました。
しかし王は、
「王女よ、寝室へ行け!」と命令しました。
王女は寝室の隅にカエルを置いて一人で寝てしまおうとしました。
しかし、カエルは
「自分をベッドに上げてください、さもないと王に言いつけますよ。」と抗議しました。
腹を立てた王女は、罵りながらカエルを壁に叩きつけようとしました。
するとカエルの魔法が解け、立派な王子の姿に戻りました。
王子は
「王女様、これまでの無礼をお許しください。私と結婚していただけませんか?」と王女に問いかけました。
王女は、
「良くってよ。」と答えました。
間もなく二人は仲良くなり、婚約をしました。
しばらくして、王子の国から忠実な家来のハインリヒが馬車で迎えにやって来ました。
ハインリヒは王子がカエルになってしまった時、悲しみに胸が張り裂けそうだったので胸に3本の鉄の帯を巻き付けていました。
しかし、無事人に戻ることのできた王子と花嫁と共に祖国に戻る途中、鉄の帯は喜びによって1本ずつ大きな音をたてて弾けて外れていきました。
作者退会会員