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猫とねずみが一緒に暮らしていました。
ふたりは冬を越すためにヘットという食用油脂を壷に入れて、盗まれる心配の無い教会の祭壇の下に蓄えておきました。
しばらくして猫はヘットがなめたくて我慢できなくなりました。
そこで、猫は
「名付け親を頼まれているので、留守番を頼むね。」
とねずみを騙しました。
そしてヘットのところへ行き、上皮の部分を全部なめてしまったのです。
帰宅した猫にねずみが
「何という名前を付けたのかい?」と尋ねました。
猫は
「皮なめ」と答えました。
ねずみは、
「変な名前を付けたもんだね」と言いました。
後日、またしても我慢できなくなった猫は、また名付け親を頼まれたからとねずみを騙し、今度はヘットを半分なめてしまいました。
「今度は何という名前をつけたのかい?」とねずみに尋ねられた猫は、今度は
「半分ぺろり」と答えました。ねずみは、
「そんな名前は聞いたことがないよ」と訝しがりました。
さらにもう一度、猫が名付け親を頼まれたと言うと、ねずみは疑いながらも見送りました。
猫は、とうとう全てのヘットを平らげてしまいました。
ねずみが
「今度はどんな名前を付けたのかい?」と尋ねると、
猫は
「みんなぺろり」と答えました。
ねずみは、いよいよおかしな名前だと不審に思いました。
やがて冬が来て、外で食べ物が見つからなくなったので、ねずみはヘットの壷のところへ行こうと猫を誘いました。
しかし、ヘットは跡形もなくなっていました。
空っぽの壷を見て全てを理解したねずみは、
「ヘットを独り占めしたな」と猫を責めようとしました。
しかし、その瞬間、猫はねずみに襲い掛かり、
「みんなぺろり」と飲み込んでしまいました。
作者退会会員