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ある貧しい家庭に生まれた女の子は、その生活苦から3歳の時に聖母マリアに引き取られ、天国で幸せな生活をおくるようになりました。
女の子が14歳になったある日、マリアは
「旅に出るから鍵束を預かって欲しい。ただし、13番目の扉を開けてはならない」
と女の子に言いつけるました。
女の子は周りの天使が止めるのを聞かず、独りになった隙に13番目の扉を開けました。
旅から戻ったマリアは、女の子が13番目の扉を開けたことに気づきますが、女の子は
「開けていません」と頑なに言い張ります。
マリアは女の子に対して
「言いつけを聞かなかったばかりか、嘘をついたお前はもう天国にいる資格は無い」として、女の子を口がきけないようにして下界の荒野に落としてしまいました。
口もきけず、身よりも無い女の子は、天国を思い出しながら木の洞で泣き暮らしました。
しかし数年後、通りかかったその国の王子に拾われ、結婚することになります。
お后となった女の子は一年後、子供をもうけました。
その晩、お后のもとにマリアが姿を現し
「本当にあの13番目の扉を開けていないね」と尋ねました。
お后はまたしても
「開けていません」と嘘をつきました。
マリアは罰として、子供を天国に連れ去りました。
翌朝、子供がいないので王の相談役たちは
「王妃が子供を飲んでしまったのだ」と裁判を申し立てますが、妻を愛している王は応じません。
また一年後、子供が生まれた晩に、マリアが現れました。
「扉を開けていないね」と尋ねられましたが、またしても嘘をついたため、再度子供を連れ去られてしまいました。
相談役たちは、
「王妃は人食いだ」と言い立てますが、王は耳を貸しません。
しかしそのまた一年後、子供が生まれた晩に、マリアが現れました。
マリアはこれまでに連れ去った2人を見せ、
「扉を開けたと正直に言えば、この子達を返してあげよう」と言いますが、お后は
「開けていません」と言い張ったため、3人目の子も連れ去られてしまいました。
「王妃は人食いだ」という噂が国中に広まり、いよいよ庇いきれなくなった王は、お后に真相を尋ねます。
しかし、お后は口がきけないため何も語りません。
お后は裁判にかけられ、火刑に処されることに決まりました。
火刑の炎が燃え上がったとき、お后は
「せめて死ぬ前に、私が開けたと白状できたらどんなに嬉しいだろう」と思うと、急に口がきけるようになりました。
そして
「私が13番目の扉を開けました」と自白したその時、ひと筋の光が差し、火刑の炎が消えました。
マリアはお后に
「罪を悔いて懺悔する者は誰でも赦される」と言って子供を返したうえ、一生の幸せを授けました。
作者退会会員